Webマーケティング2021.03.31
目次
今回の記事では前編に引き続き、B to B企業がFacebookページを活用する方法を事例に沿ってお伝えします。一般的にFacebookはB to C企業と親和性が高いと語られることが多いのですが、実はB to C企業であっても、B to B企業であっても、Facebookの基本的な活用方法に大きく変わりはありません。ポイントとなるのは、近年のWeb広告のトレンドでもある「いかにもという印象を与えるストレートな広告を極力排し、まずは読者の興味を引き付ける(または役に立つ)コンテンツをアップすることで、企業と顧客の信頼関係を構築していくこと」です。
前編の記事では株式会社オージス総研の公開している「百年アーキテクチャ(ITインフラ編)」の事例をご紹介しましたが、同社のFacebookページでは「情シスあるある」を活かしたユニークな川柳や、「百年続く」というテーマに沿ったコラム風記事を作ることで、コンセプトのぶれないページづくりを成功させていました。
後編では面白法人カヤックと長谷川工業株式会社という、全く分野の違う二つのB to B企業の事例を見ていきましょう。
■事例(2)面白法人カヤック ~Facebookを駆使したブランディング~
後編でまず取り上げるのは面白法人カヤック。同社はB to Cの事業も展開しており知名度も非常に高い企業ですが、B to B企業にとっても参考になるユニークなFacebookページを運営しているので、紹介することにしました。
カヤックといえば「面白法人」という名前の通り、工夫を凝らして常に「面白いこと」を手掛けてきた会社です。たとえばサイコロの目で手当てが決まる「サイコロ給」や、毎年奇抜なアイデアを駆使して行われる新卒採用などが有名です。
このようなカヤックですから、もちろんFacebookページのテーマも「面白さ」に振り切っています。Facebookページのカテゴリーもあえて「アートギャラリー」に設定されており、内容もサービス紹介などではなくあくまで「カヤックという会社の面白さ」を伝えるものとなっています。ページの概要には「このFacebookページでは『面白法人カヤックの裏側』をお届けしています!日常風景、ニュースの裏話、社員のお悩み相談など」と書かれています。
たとえば、Facebookページに投稿されている記事のタイトルは【露天風呂より熱い!】。6月26日が「露天風呂の日」であるという豆知識の紹介から始まり、カヤックが大事にしている「熱い言葉」を紹介するという内容です。露天風呂の話は実は前フリに過ぎず、「熱い」というキーワードを軸に自社のポリシーにつなげていくという無理やりさが独特の面白味を生み出している点、いかにもカヤックらしいといえるでしょう。
他の投稿も、短いながらどれも起承転結がうまくまとまり、ちょっとおもしろいオチがつく記事が多いのがこのFacebookページの特徴。読みやすい記事の中に、自然に社員紹介や新卒採用、社内の設備紹介といった会社情報が自然に盛り込まれています。読者を楽しませつつ、カヤックという会社の魅力をしっかり伝える。Facebookによる「企業ブランディング」の成功例のひとつとして挙げられる事例です。
■事例(3) 長谷川工業株式会社~Facebookを駆使した商品紹介~
最後に紹介するのは長谷川工業株式会社。これまでの企業と違ってIT企業ではなく、脚立や足場、高所作業台などを提供している企業です。まさに生粋の「B to B企業」ですね。
ちなみに同社の商品はデザイン性が高くおしゃれであることで知られ、海外のデザイン賞を何度も受賞しているすぐれもの。たとえば同社が運営している「ハセガワ脚立デザイン研究所」というFacebookページは脚立に特化したページとなっており、一般消費者をも対象に、スタイリッシュな脚立を取り入れた新しいライフスタイルを提案する内容となっています。
一方、長谷川工業のFacebookページは、よりB to B企業の色合いが濃いつくりとなっており、展示会の出展情報、メディアの掲載情報などの基本的な情報が掲載されています。
そんな中特筆すべきなのが、自社商品の組み立てや設置方法を紹介するYouTube動画がここで紹介されていることです。たとえば「3連はしごロープ取り付け方法」など、これまでの説明方法ではわかりにくかった商品の利用方法が一目でわかるYouTube動画は、顧客にとって非常に実用性の高いものとなっています。このように、写真+テキストというよくある構成から一歩前に出ることで、読者の目を惹き、有益な情報を与えることに成功しているわけですね。
さらにこのFacebookページでは、最新版WebカタログのダウンロードURLなども紹介されています。既存顧客や見込み顧客をターゲットに、極めてわかりやすく商品の魅力を伝えられる構成となっており、工業製品を販売しているB to B企業にとっては、絶好のお手本といえそうです。
■まとめ
前回から引き続き、2回にわたってご紹介してきたFacebookページの活用法。いかがでしたでしょうか。B to B企業であっても、それぞれの企業・ターゲットの特性に合わせたFacebookページを作ることで、コミュニティ形成、企業ブランディング、商品紹介といったさまざまな目的を達成できることがおわかりになったのではないでしょうか。
商品の内容や企業の特性にかかわらず確実に言えるのは、「どんなFacebookページもまずは読者(顧客)の立場に立って作ること」。こちらが伝えたい情報を一方的に伝えるのではなく、読者が求める情報をわかりやすく提供することが「いいね!」をもらう秘訣です。このことは、個人・法人に関係なく「コンテンツ作成」の基本といえるでしょう。ぜひ、ご参考にしてみてください。