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Webマーケティング2021.03.30
目次
昨今、インターネット網の発達や感染症の流行により”リアルからWebへ”という流れが一層加速しています。
インターネット上で自社のサービスや製品を顧客にアピールし、販路を広げていこうと考えている企業担当者の方も多いのではないでしょうか。しかし、こうした施策はやみくもに行っていても、思い通りの効果が得られません。
そこで今回は、効率的なマーケティングをするために知っておきたいデジタルマーケティングの基礎知識についてご説明します。
デジタルマーケティングとは
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デジタルマーケティングとは、その名の通りデジタルを活用したマーケティングのことです。
デジタルを利用した集客というと「メールマガジンの発行」や「SNSアカウントの運用」「Webサイトの作成」「インターネット広告」などを思い浮かべる人も多いでしょう。
もちろん、こうした手法も、デジタルマーケティングのひとつです。
他にも、「Webサイトを訪れた人がどこから流入してきたのかを調べて、流入率を上げる」「インターネット広告の種類別にどのくらい成約に結び付いているかを調べて効率アップを目指す」といったことも、デジタルマーケティングに含まれます。
デジタル技術は進化の一途を遂げており、「インターネットを介してできること」や、「インターネットのデータから調べられること」は、どんどん増えています。
これらのデータや技術を活用して行うマーケティング全般を、デジタルマーケティングと呼びます。
デジタルマーケティングとWebマーケティングの違い
デジタルマーケティングと混同されがちな言葉に、Webマーケティングがあります。
Webマーケティングとは、Webコンテンツを使ったマーケティング手法のことで、Webサイトの作成やメールマガジン発行、SNS運用、インターネット広告などが該当します。
これらの手法は、先程ご説明したとおり、デジタルマーケティングと呼ばれることもあります。
これは、Webコンテンツもデジタル技術の一種だからです。
つまり、デジタル技術を利用したマーケティングである「デジタルマーケティング」の一部に、Webコンテンツを利用した「Webマーケティング」が含まれるということになります。
デジタルマーケティングには、Webマーケティングに含まれる手法のほか、AIやアプリ、ディスプレイ広告などを利用したマーケティングも含まれます。デジタルマーケティングとWebマーケティングは一部が重なるものですが、デジタルマーケティングの方が、より広義の手法を指すということを知っておきましょう。
デジタルマーケティングの目的と必要性
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デジタルマーケティングは、営業活動を効率よく、スピーディに進めるために行われます。 インターネットが発達する以前のマーケティングは、対面やリアルで行われていました。
たとえば、新たにお店をオープンしようというとき、チラシを個別に配布して開店を伝えることもあるでしょう。
しかし、そのためには、チラシのデザインを決め、印刷し、配布するという時間とコストと労力がかかります。その上、チラシの効果が実際のところどのくらいあったのか、正確に計測することは困難です。
一方、デジタルマーケティングであれば、お店のHPやSNSアカウントを開設することで、簡単に開店をアピールすることができます。
これは、お店のキャンペーンや新商品の告知も同様です。必要なときに、必要な情報をすぐに顧客に届けることができるため、毎日の特売品の紹介なども気軽に発信できるでしょう。
さらに、インターネット上のHP等を訪れた顧客のアクションを分析すれば、発信にどのくらいの効果があったのかも容易に知ることができます。
これをデジタルマーケティングに反映していくことで、より効果の高い発信ができるようになっていきます。
デジタルマーケティングの定石と種類
デジタルマーケティングには、さまざまな手法があります。このような、顧客を目的の結果につなげるための媒体や経路のことを「チャネル」と呼びます。
デジタルマーケティングでは、複数のチャネルをターゲットや目的に合わせて組み合わせて運用する場合が多くなっています。様々なチャネルを利用したマーケティングのうち、ここでは代表的な6種をご紹介します。
ソーシャルメディアマーケティング
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Instagram、LINE、Twitter、Facebookといったインターネット上で社会的なつながりを持つことができるメディアをSNS(ソーシャルネットワークサービス)と呼びます。
このSNSを利用して行うマーケティングが、ソーシャルメディアマーケティングです。
SNS上で情報発信するだけでなく、自社製品などについて発信しているユーザーとつながりを持ったり、魅力的な発信をすることで広く情報を拡散してもらったりできるメリットがあります。
また、SNSというのは、新たにサービスを構築しなくても、既存のサービスに企業名や製品名、サービス名などで登録をするだけで使い始められます。
また、更新作業も簡単で、決められたフォームに文字や画像を入力して投稿するだけなので、面倒がありません。
デジタルマーケティング初心者であっても、簡単に参入できる上に、ユーザーに興味を持ってもらえれば大きな話題になったり、ニュースで取り上げられたりする可能性もあるでしょう。
反面、安易な発信がユーザーの反感を買ってしまうといった事例もあります。手軽であるからこそ、運用方針や運用姿勢についてはしっかり定めておく必要があります。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、ターゲットとなるユーザーが興味を持つコンテンツを有したWebサイトを構築することで、最終的な顧客獲得を目指す手法です。
たとえば、自社が紅茶を扱っているショップだとしましょう。その場合、ユーザーはおいしい紅茶の入れ方や、茶葉や茶器の種類、紅茶に合うお菓子のレシピなどについて知りたいと考えていると予想されます。
こうしたニーズに応えるコンテンツを持つWebサイトを構築し、将来顧客になりうるターゲットをサイトに集めることで、顧客との接点を持つというのが、コンテンツマーケティングの手法です。
とはいえ、ユーザーにとって有益なコンテンツを発信しているだけでは、売上を効果的に上げることはできません。
コンテンツマーケティングを行う際は、それによって何をしたいのか、目的を明確に設定してユーザーを誘導していく必要があります。
具体的には、「自社のSNSをフォローしてもらう」「メールマガジンに登録してもらう」「Webショップを訪れてもらう」といったゴールが想定されます。
メールマーケティング
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顧客や見込み顧客に対してメールマガジンなどを発行するマーケティング手法が、メールマーケティングです。
メールアドレスを登録してもらわなければならないハードルがあるものの、直接相手に情報を伝えることができるため、効果的にアピールができるでしょう。
すべての顧客に同じ内容を送るだけでなく、新規購入者や2度目のリピーター、定期購入者など、属性に応じた内容のメールを用意するといった手法がとられることもあります。
このようなメールは「ステップメール」と呼ばれます。
アプリマーケティング
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アプリマーケティングは、自社のスマホアプリを作成し、顧客にインストールしてもらうことでマーケティングを行う手法です。
GPSと連携させることで、店舗の近くにいるときにタイミングよくクーポンを配信し、プッシュ通知で知らせるなど、顧客の行動に応じたアクションを取れるメリットがあります。
ただし、アプリマーケティングを活用するためには、まずアプリをインストールしてもらわなければいけません。
そのため、アプリ利用料は基本的に無料に設定する必要があります。加えて、初回ダウンロード時の特典を用意するといった工夫をする場合もあります。
動画マーケティング
動画配信サイトやSNS上の動画を楽しむユーザーが増えたことから、文字ではなく映像でアピールをする動画マーケティングにも注目が集まっています。
動画配信サイト上で動画を見る際に、テレビコマーシャルのように流れる動画広告を目にしたことがある人は多いでしょう。
動画広告を見ることでポイントがもらえる、といったアプリも多く存在しています。
また、動画広告は、Webページ上のコンテンツの一部として表示されることもあります。
たとえば、Yahoo!JAPANのトップページの右上部分には広告が表示されますが、この位置に広告動画が自動再生される場合があります。これも、動画マーケティングのひとつです。
SEO
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「SEO」は、日本語に訳すと「検索エンジン最適化」となります。
スマートフォンを持つことが当たり前になった昨今、わからないことや知りたいことは、とりあえず検索してみるという人も多いでしょう。このときに使うのが「検索エンジン」です。
GoogleやYahoo!といった検索エンジンで知りたいKWを検索した後は、検索結果の上から順に確認する人がほとんどです。
つまり、検索結果の上位に自社のWebサイトを表示させることができれば、情報を求めている人との接点を作りやすくなります。
たとえば、「デジタルマーケティング」というKWについて知りたい場合、このように表示された検索結果の中から、目についたサイトをクリックして詳細を確認することになります。
そこで、自社のWebサイトやブログなどを運営している企業は、コンテンツ内容やサイトの構造を工夫して、検索エンジン側から高い評価を得るための対策を行います。これが、SEO対策です。
SEO対策を行うことで、自社のサイトをユーザーの目につきやすい上位に表示できます。
デジタルマーケティングに関連する資格
デジタルマーケティングを適切に行うためには、専門知識も必要です。そこで、デジタルマーケティングの知識を網羅的に学べる関連資格を4つピックアップしました。
それぞれ対応する分野や難易度が異なるため、自社の希望するマーケティング方法や、担当者のスキルレベルに応じて取得を目指しましょう。
マーケティング・ビジネス実務検定
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マーケティング・ビジネス実務検定は、デジタルマーケティングだけでなく、マーケティング全般の知識を体系的に学ぶことができる検定試験です。
A級、B級、C級の3つの級があり、自分のスキルに合わせてステップアップができます。また、試験は年4回で、公式の対策講座も開講されるため、勉強の仕方に迷うこともありません。
学生でもチャレンジできる検定なので、これまでマーケティングを意識したことがあまりない人でも無理なく勉強を始められるでしょう。
デジタルマーケティングを始める前に、まず、基礎となるマーケティングの知識をしっかり学んでおきたいと考えている人にもおすすめです。
ネットマーケティング検定
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ネットマーケティング検定は、インターネットを活用したマーケティングに特化した検定試験です。
これまでにご紹介した通り、インターネットを使ったマーケティング手法にも様々な種類があります。
また、それぞれの種類の中で、自社がどのようにマーケティングを展開していくべきなのかも、取扱商品や時節、業種、ターゲットなどによって変わってくるでしょう。
ネットマーケティング検定を取得することで、数多くある選択肢の中から、状況に合わせた最適な手法を選択肢、効果的なマーケティングを行うために必要なスキルを身に着けることができます。
IMA検定
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IMA検定のIMAは「インターネットマーケティングアナリスト」を意味しています。
その名の通り、インターネットマーケティングに特化した専門スキルに関する検定が、IMA検定です。
IMA検定では、インターネットマーケティングを効率よく行うために必須のサイト分析方法や、リスティング広告に関する知識、インターネット広告を効果的に連動させる方法など、専門性の高い実践的な内容に関する知識が問われます。
全11回のオンライン講座も用意されているため、しっかり知識を自分のものにできるでしょう。
SNSエキスパート検定
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SNSエキスパート検定は、SNSマーケティングに関するスキルを身に着けられる検定です。初級と上級にわかれていて、上級では効果分析などの知識も問われます。
試験は、指定の講座を受講後に行われ、講座を受講した人しか受験できません。講座で知識を学び、検定で学んだ知識が身についているかどうかをチェックできます。
また、関連資格として「SNSリスクマネジメント検定」もあります。近年、大企業であってもSNSで炎上してしまうといった問題が起こっています。こうした問題を回避するために、こちらも合わせて取得しておくと安心です。
デジタルマーケティングを学べる本
最後に、デジタルマーケティングを学べる本について紹介します。デジタルマーケティングは、デジタル技術を活用したマーケティング手法ですから、インターネット上にも数多くの関連サイトや解説サイトなどが存在しています。
こうした情報を活用して知識を身に着けるのも、もちろん非常に有効です。
しかし、中には「長文をパソコンやスマートフォンで見るのは厳しい」「もっと体系的にまとまりのある本で解説してもらいたい」「傍らにおいていつでも見返したい」という人もいるでしょう。
本は、作者だけでなく、編集者の目も入った上で出版されていますから、信頼性という点でもメリットがあります。特におすすめの3冊をピックアップしました。
沈黙のWebマーケティング
「沈黙のWebマーケティング」は、Webマーケティングについて、これから新たに知りたいという人や、基礎知識から改めて勉強したいという人におすすめです。
イラストなども挿入しながら、ストーリー仕立てでWebマーケティングの知識が身につく内容になっています。
そのため、難しい解説本や遊び心のない本は読み進められるか不安があるという人でもスイスイ読むことができるでしょう。
496ページと厚みのある本ですが、イメージ写真からもわかるように、チャット形式がとられているので、読み進めるのにそれほど多くの時間はかかりません。
2015年発行と、発行からやや時間が経っていますが、技術面の進歩はあっても、マーケティングの基礎的な考え方は変わりません。
特にこの本は、マーケティングの観点に立った考え方とはどのようなものか、といった思考方法についての記載が多いため、今でも十分役立てられます。
反対に、実際のコンテンツ制作という部分については、それほど充実していませんし、そもそも発行から時間が経ってしまっているため、別の本やサイトなどと合わせて利用するのが良いでしょう。
世界基準で学べる エッセンシャル・デジタルマーケティング
Googleの広告営業本部に在籍していた著者が、デジタルマーケティングの基礎から実践までを幅広く解説した本です。
デジタルマーケティングに特化した内容ですが、これまでデジタルマーケティングに関わったことがない人でも読みやすい、わかりやすい文章で解説されています。本の最後の用語索引や、事例紹介といった、理解を助けてくれる工夫もされているため、これから基礎知識を学んでいきたい場合でも十分理解できる内容です。
ただし、具体的なマーケティング手法については2018年の本ということもあり、やや情報が古いケースがあります。この本でデジタルマーケティングの基礎を学んだあと、最新のデジタルマーケティング手法や現状について知り、情報をアップデートしていくのが良いでしょう。
1からのデジタルマーケティング
2019年発行と、今回ご紹介した3冊の中ではもっとも新しい本です。
こちらは、日本人になじみが深い企業のデジタルマーケティング手法を取り上げながら説明しているため、納得感が高く、デジタルマーケティングの重要性や活用法を実感できる1冊となっています。
複数の大学の教授や准教授が執筆しており、編者は、法政大学経営学部教授と学習院大学国際社会科学部教授です。経営学の専門家としての知見から、デジタルマーケティングの現在(2019年当時)を網羅的に知ることができる本です。
なお、本書は全15章構成となっていて、それぞれ異なる企業の事例を取り上げています。ひとつひとつのボリュームが多すぎないため、無理なく読むことができるでしょう。
また、それぞれの章は独立した事例ですから、区切りもつけやすく、日々読み進めるにも便利です。
まずはデジタルマーケティングの基本を理解しておこう
新しい時代に対応していくためには、デジタルマーケティングの手法を知り、活用していくことが大切です。複数の手法の中から、自社に合ったマーケティング方法を検討してみましょう。
デジタルマーケティングの魅力は、手軽さとスピード感です。実際に運用しながら知識を身に着け、改善していくことで、より効果を高めていくことができるでしょう。
まずはデジタルマーケティングとは何かを知り、できることからスタートしてみてはいかがでしょうか。