Webマーケティング2021.03.30
目次
デジタルマーケティングでは、Webサイトの作成や更新、メールの配信など、さまざまな業務が発生します。しかし、このような業務を単純作業のように繰り返しているだけでは、期待している成果を得るのは難しいでしょう。
マーケティングの効果を高めるためには、限られたリソースを活用しながら、戦略的なデジタルマーケティングを展開することが重要です。
そこで今回のやり方、カスタマージャーニーマップの作成方法などについて詳しくご紹介します。
デジタルマーケティングにおける戦略の重要性
従来のデジタルマーケティングは、Webサイトやメールを活用した施策の展開に限られていました。
しかし近年では、モバイルデバイスやSNSなども含めた、複合的なマーケティング活動の展開が求められています。
ユーザーの購買プロセス多様化に対応するためには、新たなテクノロジーと膨大なデータを勘案したうえで、戦略を立てていく必要があるためです。
デジタルマーケティングの戦略を立てる流れ
デジタルマーケティングの戦略を立てる流れを、順に見ていきましょう。
- ゴールを決める
- STP分析を行う
- カスタマージャーニーマップを作る
- KPIを決める
- KPIを達成するための年間計画を立てる
- KPIを測定しながらPDCAを回す
ゴールを決める
デジタルマーケティング戦略の立案は、ゴールを明確化することから始めます。具体的には、マーケティング活動全般のなかで、デジタルマーケティングが果たす役割を定義し、マーケティングの成果を測る指標と具体的な数値目標を定めていきます。
ゴールは抽象的なものではなく、数字などで客観的に判断できるゴールを決めなければいけません。
STP分析を行う
STP分析とは、以下3つの頭文字から取った分析法です。
S:セグメンテーション(市場細分化)
市場を細分化させて、理想的な顧客像と現実の購買客を近づけます。
T:ターゲティング(市場の決定)
自社商品に適した特性やライフスタイルでターゲットのセグメント分けをおこない、採算性の高い市場を決定します。
P:ポジショニング(自社の立ち位置)
自社の立ち位置を決めて、他社との差別化と優位性を明確にします。戦略を立てる上では非常に重要な分析です。
なお、STP分析の方法については、後ほど詳しくご紹介します。
カスタマージャーニーマップを作る
顧客が商品やサービスを認知してから購買するまでの行動や心理を「旅(ジャーニー)」に例えて図表化したものが「カスタマージャーニーマップ」です。
カスタマージャーニーマップを作成することによって、「顧客に起こして欲しい行動」から、「態度変容を経てゴールに繋げるまで」を可視化することができます。
デジタルマーケティングでは、リアルをデジタルの間を往来する顧客の行動を捉えることが大変重要です。
なお、カスタマージャーニーマップの作成方法については、後ほど詳しくご紹介します。
KPIを決める
マーケティング施策を評価するKPIの設定も重要です。KPIを設定すれば、施策の効果を正しく測定できるだけではなく、継続的な施策の改善も実現します。
たとえば、「WEBサイトから年600件のコンバージョンを獲得する」ことを目標とした場合のKPIとしては、「月間のコンバージョン数」などが有効です。
KPIを設定しなければ、年間目標が達成できなかった場合に、どこに問題があるのかが明確にならないため、改善策を検討することができません。
KPIを達成するための計画を立てる
KPIを決めたら、そのKPIをどのくらいの期間で達成するのかを計画して実行していきます。
「WEBサイトから年600件のコンバージョンを獲得する」ことを目標としたなら、600件を達成するために何が足りないのかを分析したうえで、年間計画を立案します。
デジタルマーケティングを成功させるためには、年間の計画を立ててから各月の計画を立てていくことが何よりも重要です。
KPIを測定しながらPDCAを回す
戦略の展開後は、KPIを毎月計測しながら計画と相違ないかを確認します。
誤差は必ず生じるため、「どこに問題があるのか」「どのように改善すればいいのか」を繰り返し検討して戦略をブラッシュアップさせていきましょう。
なお、計画と実数に大きな差が生じている場合は、計画そのものに無理がある可能性があるので注意が必要です。
STP分析のやり方
ここからは、STP分析の具体的なやり方について、詳しくご紹介していきます。
ユーザーをいくつかのグループに分類する
まずはSTPのS「セグメンテーション(市場細分化)」をおこないます。
市場を細分化すれば、コンセプトを曖昧にすることなく、デジタルマーケティング施策を立案できるようになります。
なお、市場を細分化するときには、以下の4つに分けると顧客のニーズを見つけ出しやすくなるでしょう。
①地域的要素 | 国や都市の規模、人口、気候、生活習慣など |
②人口動態要素 | 年齢、性別、所得、家族構成など |
③心理的要素 | 価値観、嗜好、ライフスタイルなど |
④行動要素 | 購買経路、頻度など |
狙うターゲットを決める
続いて、狙うターゲットを決める「ターゲティング」をします。
この段階では、細分化した市場のなかから、どのような顧客が自社のターゲットに適しているのかを決めていきます。
一般的に、ターゲティングが正しいかどうかは、以下の5つの「R」で判断することができます。
- Rank:顧客層の重要度に応じたランクづけができているか
- Realistic:その市場で売上と利益を確保できるか
- Reach:その市場の顧客へ確実に製品を届けられるか
- Response:その市場の顧客層の反応を分析できるか
- Rival:その市場での競合の状況はどうか
ターゲティングで悩んだ場合にも、上記の5Rを参考にするといいでしょう。
ポジショニング
セグメントとターゲティングを元に、競合企業との差別化をしながらポジショニングをしていきます。
競合他社との差別化で注意したいのは、以下の5つのポイントです。
- 品質や素材などで競合商品と差別化できるか
- 他社製品よりも顧客のニーズを満たせるか
- 製品を使用する場面は他社と異なるか
- 競合製品と自社製品との関係性はどうか
- 競合製品にない独自性があるか
競合他社との差別化は、商品の売上を大きく左右するポイントなので極めて重要です。
カスタマージャーニーマップの作り方
ここからは、カスタマージャーニーマップの作成方法を詳しくご紹介していきます。
項目を整理する
まずは、カスタマージャーニーマップの作成に必要な項目・情報を揃えます。特に重要なのはペルソナの設定です。
初めは手元にある情報などを元に、ラフにペルソナを設定するだけでも問題はありません。想像力をフルに使って作成しましょう。
ただし、人物像は細かく設定しなければいけません。大勢のグループをイメージするのではなく、特定の個人を思い浮かべるようなレベルで設定します。
職業や年齢、性別はもちろん、考え方や家族構成、行動範囲なども具体的に設定していきましょう。
目的・ターゲット・ステージの設定
この段階では、ユーザーの検討ステージを理解したうえで、そのステージに応じた課題を洗い出していきす。ビジネスモデルによって目的やターゲット、ステージは異なります。
そのため、自社の商品やサービスに応じて、「顧客が意思決定までにどのような段階を踏むのか」をイメージすることが重要です。
さまざまなステージが考えられますが、そのプロセスを大まかに分けると以下のようになります。
・○○を買いたいと思う「興味・関心」:商品に対する興味や関心を示している段階です。具体的な商品名は決めていませんが、価格や買える場所などを気にし始めています。 ↓ ・欲しい商品を具体的に決める「比較・検討」:ここでは、口コミやレビューなどをみて、いろいろな商品の具体的な検討を始めます。 ↓ ・実際に商品を購入する「購買」:商品購入段階です。 ↓ ・商品を実際に使用する「利用」:商品購入後の利用段階です。 ↓ ・口コミなどに投稿する「共有」:共有の段階では、口コミサイトやSNSで商品の使用感を書き込みます。 デジタルマーケティングでは、かなり重要な部分とも言えるでしょう。商品に対する悪い口コミが書かれたら、今後の売上にも影響を及ぼします。しかし、良い口コミが書かれた場合には、書いた本人がリピーターになる可能性があるだけではなく、他のユーザーにも商品の良さを拡散できます。 |
上記はあくまでもステージ分けの一例です。商品やサービスによってステージは異なるので、もっとも最適なステージを検討しましょう。
ステージの設定で迷った場合には、最低でも以下を盛り込むように考慮すると設定しやすくなります。
- 顧客の行動
- 顧客の心情
- タッチポイント
- アプローチまでの施策
実際にマップを作成する
設定したペルソナ、目的、ターゲット、ステージを使って、カスタマージャーニーマップを作成していきます。重要なのは、顧客の行動や思考もステージ別に設定することです。
ステージ別の感情の起伏も併せて記入すると、より分かりやすくなるでしょう。
デジタルマーケティングの戦略を立てる上で重要なポイント
デジタルマーケティング戦略を立てるためには、以下のポイントに注意すると、精度の高い戦略を立てることができます。
- 目的を明確にする
- ターゲットを具体的に設定する
- マーケティングの手法を適切に選ぶ
それぞれ詳しく見ていきましょう。
目的を明確にする
冒頭でも述べましたが、デジタルマーケティング戦略の立案はゴール、つまり「目的」を明確化することから始めます。
目的の明確化に失敗すると、戦略の精度も低下してしまうので注意が必要です。
デジタルマーケティングが果たす役割を定義するのはもちろん重要ですが、成果を測る指標と具体的な数値目標を決めなければ、戦略を実行したあとで、それが成功しているのか・失敗しているのかを判断することができません。
特に重要なのは、「客観的に判断できる目的を定める」ことです。
「昨年度よりもコンバージョン数を増やす」というような目的ではなく、「昨年度よりもコンバージョン数を20%増やす」というように、数値などを使って明確化しましょう。
目的を明確にすることで、マーケティング関係者全員が戦略の進捗状況や成果を客観的に判断できます。
ターゲットを具体的に設定する
「カスタマージャーニーマップの作り方」でもご説明しましたが、重要なのはターゲットとなるペルソナの設定です。
初めはラフな設定で構いませんが、カスタマージャーニーマップの作成、検討に入る段階では、しっかりとしたペルソナの設定をしなければいけません。
職業や年齢、性別、考え方、行動範囲なども具体的に設定します。
設定で迷ったときには、以下の手順を踏むといいでしょう。
①情報収集
まずは必要な情報を集めます。情報収集の具体的な方法としては、インタビューやアンケート、シンクタンクのデータ分析などが考えられるでしょう。
②情報分析
集めた情報を分類、取捨選択して、商品やサービスに適したものを絞り込んでいきます。
③ペルソナを作成する
整理されたデータを使い、顧客の鮮明なイメージを作成していきます。
マーケティングの手法を適切に選ぶ
商品やサービスに応じたデジタルマーケティングの手法を選択することも大切です。
主なデジタルマーケティング手法には、以下のようなものがあります。
Webサイト
基本的なデジタルマーケティング手法です。
Webサイトを活用するためには、洗練されたデザインと使いやすさが重要です。
ブログ
即効性はありませんが、古い投稿が検索上位に表示されたり、SNSでシェアされたりすることもあるので、中長期的な目線で取り組みたいときなどに有効です。
SEO
SEO(検索エンジン最適化)は、サイトへのアクセスを増やすだけでなく、信用性を高める役割も果たします。
動画
動画市場の急速な拡大に伴って、デジタルマーケティングでも、その重要度が増してきています。
ユーザー数の多いYoutubeのようなプラットフォームに説得力のあるコンテンツや動画広告を投稿すれば、商品に対するユーザーの理解度も深まるでしょう。
デジタルマーケティングを外注する場合の費用相場
自社内にデジタルマーケティングのノウハウがない場合には、外注することも可能です。外注した場合のおおよその費用相場は以下の通りです。
Web広告運用 | リスティング広告:10円~数千円/1クリック |
動画広告:10円~900円/1再生 | |
SNS広告:10円~900円/1件 | |
SEO対策 | 外部対策:1万~15万円/月 |
内部対策:10万~30万円 | |
SNS運用:20万~30万円/月 |
費用は展開するマーケティング手法によって大きく異なるので、事前にしっかりと確認しておきましょう。複数社に見積もりを依頼する場合は、同じ条件で依頼をしたうえで比較検討することが大切です。
デジタルマーケティングの戦略成功の鍵はゴールの立て方
デジタルマーケティングの戦略を成功させるためには、まず「明確なゴールを定めること」が重要です。そのうえで、STP分析やカスタマージャーニーマップを作成して、戦略を立案していきましょう。
KPIを設定するときにも、年間目標を決めてから各月のKPIを設定すれば、問題が発生した場合にスピーディーな対応が可能となります。
自社内にデジタルマーケティングのノウハウがないときには、外注することも可能です。予算に余裕がある場合や、社内の人的リソースが不足している場合などは、初めから外注を検討してみてもいいでしょう。
今回ご紹介した手順を参考にしながら、効率的で精度の高いデジタルマーケティング戦略の立案を実現させましょう。