ECにおける数値管理・目標管理の上手な行い方【後編】

ECにおける数値管理・目標管理の上手な行い方【後編】

Webマーケティング2021.03.31

目次


ECサイトを成功させる上で必要なのは、徹底したデータ分析・データ管理です。いくらWeb広告にお金をかけたり、キャンペーン企画を次々に繰り出したりしても、「やって終わり」ではマーケティングの成否さえはっきりしませんし、当然次の施策の精度を高めることもできません。日々のアクセス数や売上などのデータを地道に記録し、見直すことによってはじめて、実施した改善や施策がどの程度効果を上げることができたのか明らかになります。こういった数値管理・目標管理を実践することで、KPI(重要経営指標)の達成に向けて効果的なマーケティングができるわけです。


そこで今回の記事で提案したいのは「実行数値管理表」の作成。具体的にどのような項目を立て、日々入力していけばいいのかをお伝えします。ぜひ、参考にしてみてください。


実行数値管理表とは?


「実行数値管理表」という名前を目にすると、作成に何か難しい技術やソフトを要する書類のように見えるかもしれませんが、そんなことはありません。どんな業種・規模のECサイトにも応用が利き、なおかつコスト・手間も最低限に抑えたシンプルな表作成方法です。使用するソフトは、表計算ソフトなら何でも構いませんが、一般的なものでいうとExcelでOK。Excelの最低限の入力スキルさえあれば、誰でも今日からすぐに作れる内容となっています。


実行数値管理表では、8つの列を使用します。毎日1回ずつ、8項目のデータを入力するだけで実行数値管理表を運用することができます。


では、具体的にExcelでどのようなデータを入力していけばいいのか、各項目について説明します。


(1)日付


まず、一番左側の列には日付を入力します。実行数値管理表は毎日1回ずつ各項目を入力するものですので、日付は365日の全日程を入力してください。たとえば2016年7月の実行数値管理表であれば、2016年7月1日から7月31日までの31行のExcel表ができることになります。


(2)売上


「日付」の右側の列には「売上」という項目が入ります。文字通り、その日のECサイト全体の売上数値をここに入力します。ECサイトの売上数値は、データ管理用のシステムや受注データベース等から抽出することができるはずです。「売上は税込み・税抜きのどちらで入力すればいいの?」という点に関しては、どちらでもOKです。使いやすいほうの数値に統一して運用すればよいでしょう。表記をバラつかせないのが重要です。


(3)アクセス数


3列目に入力するのは「アクセス数」。ECサイトがどの程度たくさんの人に見られているのかを示す重要な数値です。この数値も売上同様、各ECサイトのシステムやGoogleアナリティクスを使えば簡単に抽出することができます。ちなみにGoogleアナリティクスの場合は「セッション」という項目になります。


(4)受注件数(注文件数)


アクセス数の右側には「受注件数(注文件数)」を入力します。この数値もアクセス数同様、ECサイトの管理システムやGoogleアナリティクスから抽出してください。もし受注のたびに受注メールが届く仕組みになっているのであれば、このメールの数をカウントして受注件数を割り出すのもOKです。なお、この受注件数は「いくつの商品が売れたか」ではなく、「決算単位」、つまり「何回お買い物かごで買い物が行われたか」でカウントしてください。


(5)転換率(コンバージョン)


コンバージョンとは、ECサイトにアクセスした顧客の何パーセントが購入にまで至ったかを示す確率を指します。いくらたくさんのユーザーが閲覧していても、それが売り上げにつながっていなければ意味がありません。コンバージョンはしばしば、ECに限らずWebサイトやコンテンツのクオリティを示す重要指標として用いられています。コンバージョンは「受注件数÷アクセス数」で算出することができますので、Excelであれば関数による自動計算機能を使うのもよいでしょう。


(6)客単価


コンバージョンの右側に入力するのは「客単価」。「買い物をした顧客が平均何円使ってくれたか」を示す数値です。いくら「受注件数」が高くても、客単価が低ければ売上・利益のアップにはつながらないため、こちらもEC運営において重要な指標ですね。客単価は「売上÷受注件数」で算出できるので、Excel関数を使うと便利です。


(7)施策/改善


「客単価」の右側には、「施策/改善」という項目を入力します。この列にはほかの項目と違い数値を入力するわけではありません。ECサイトの改善内容や、顧客に対して行ったアプローチの内容など、ECサイト運営において実施したあらゆる施策について記録します。具体的にどのような方法で入力すればよいかについては、後編で詳しくお伝えします。


(8)理由/特筆事項


最後の列には、「理由/特筆事項」を入力します。こちらに入力するのも数値ではなく、「(2)~(6)までの数値の変動(または変動していないこと)がどのような理由によって起こったのか」、その要因として考えられることを文章化します。こちらも(7)と同様、どのように入力するかは後編で詳しく説明したいと思います。


まとめ


1日、たった15分。「実行数値管理表」はECサイトのKPIを正確に把握し、目標管理・数値管理を進めていく上できっと大きく役立つツールとなるはずです。具体的な運用方法については後編でご説明しますので、ぜひ合わせてお読みください。