Web広告2021.03.30
目次
検索キーワードに応じて検索結果画面に広告を表示させられるリスティング広告は費用対効果の高い広告手法として人気があります。
しかし、ただ広告を出しているだけではコンバージョンにつなげられませんターゲットとなるユーザーにピンポイントでアプローチし、コンバージョン率を上げるにはどうしたらいいのでしょうか?
この記事では、リスティング広告で効果を出すためのポイントを解説します。
リスティング広告で得られる効果とは
特定のキーワードを検索した際に、そのキーワードに連動して検索結果画面に広告を表示させられるリスティング広告は、売上貢献が期待できる広告手法です。
商品・サービスが売れる
リスティング広告で得られる効果の1つは商品やサービスの売上につなげられることです。自社の商品やサービスに関連しつつもニーズの高そうなキーワードを選定することで潜在的にニーズがありそうな広告も表示されるので売上につなげやすい特徴があります。
また、効果が出るまでに時間や手間がかかるSEOなどと違い、速効性があるのもリスティング広告の特徴といえるでしょう。
広告を出すとすぐに上位表示させられるのでターゲットとなるユーザーにピンポイントでアプローチできます。
たとえば、テレビやSNSなどで自社の商品やサービスに関連のあるものが話題になった時にすぐ広告を出すといったスピード感のある柔軟な対応はリスティング広告ならではです。
また、リスティング広告はクリックによる課金制なので、ユーザーが広告をクリックしなければ費用が発生しない点も大きく、広告を出しても効果がないのに費用だけかさんでしまう、といった事態を避けられます。
知名度が上がる、認知が広がる
自社の商品やサービスの売上増加と似ていますが、リスティング広告によって自社のサイトに興味を持ってアクセスしてくれるユーザーを増やせます。
リスティング広告は自社で作成した広告文を表示できるため、自社の世界観や魅力など、ユーザーに伝えたいポイントをダイレクトに表現できるのが利点です。
知名度が向上することでその場では売上に直結しなくても、自社の商品やサービスが認知されれば商品購入時に選択肢の1つに入れてもらえる可能性が高まります。
リスティング広告は他の広告と違い、途中で広告文を変更したり、広告自体を停止したりと柔軟性があります。そのため、ユーザーの反応を見ながら複数パターンをテストするなど、費用対効果を検証するのにも便利です。
ユーザーにとっても目先が変わるので新鮮味を持って見ることができ、知名度向上にもつながるといえます。
リスティング広告の効果を最大化するためのポイント
リスティング広告を出したからといってすぐに効果が表れるとは限りません。効果を最大化するためにはいくつかポイントがあります。
自社の強みの整理
リスティング広告を行ううえで欠かせないのが、広告文で自社の商品やサービスの強みをアピールすることです。リスティング広告はその広告文でユーザーの興味や関心を引かなくてはなりません。
より魅力のある広告文を作るにはまず、自社の商品やサービスの強みを洗い出し、整理することから始めましょう。
それには企業の戦略マーケティングを考える際によく利用されるフレームワークの一つ「3C分析」が有効です。3C分析とは3つの「C」を掘り下げていくことで、自社の課題を見つけられるものです。
3C | 分析項目 |
Customer(顧客) | ・市場規模や成長性、推移などの変化・顧客のニーズや購入プロセス |
Competitor(競合企業) | ・競合企業の商品やサービスの特徴・競合企業のリソースや体制、戦略や影響力 |
Company(自社) | ・自社の経営理念や戦略・自社の強みと弱み、リソースとPR力 |
ターゲットの絞り込み
リスティング広告は特定のユーザーに的を絞ってアプローチできる広告手法です。そのため、広く一般に向けたものではなく、自社の商品やサービスにマッチしたユーザーに向けた広告を作る必要があります。
エリアを絞り込む
自社の商品やサービスの需要に地域的な偏りがある場合は広告配信エリアを絞ることで、効率よく効果を上げられます。
IPアドレスなどの情報を活用すれば、対応エリアから検索された場合のみに広告を表示させるといったことも可能です。
たとえば、東京23区内でしか展開していない商品やサービスについて、知名度や認知度を上げようと関東全域に広告配信を行った場合、問い合わせがきても対応できません。
費用をかけて無駄な手間を増やしているだけという状況になってしまうので、ある程度のエリアの絞り込みは必要です。
年齢や性別で絞り込む
エリア同様、年齢や性別によって需要に偏りがある商品やサービスもあるでしょう。リスティング広告は年齢や性別を指定して配信を分けることも可能です。
たとえば、「男性」だけ、「25~34歳の女性」だけ、「30~39歳の男性」だけといった細かな設定ができます。こういったターゲットとなるユーザー層に絞るだけでなく、集中して広告配信を行うこともできるのがリスティング広告です。
興味関心で絞り込む
リスティング広告の効果を最大化するために重要なのが、自社の商品やサービスを購入する見込みが高いユーザーにつながるキーワードを優先して配信することです。
広告配信に割ける予算には限りがあるため、なるべく低コストで効果を出したいものです。キーワードにはビッグワード・ミドルワード・スモールワードと、検索される回数の量によって分類されます。
ミドルワードやスモールワードは検索回数が少ないながらも、設定することでよりターゲットへアプローチできるため、組み合わせて設定されることが多く、複合ワードと呼ばれています。
いずれのキーワードを設定する場合でも、見込みの高いユーザーの興味や関心につながらなければ広告配信を行っても効果が出にくいため、絞り込みの見極めが大切です。
キーワードで絞り込む
配信された広告をクリックしても商品やサービスの購入に至らないユーザーもいます。そういったコンバージョンにつながらないユーザーが検索するキーワードについては、除外キーワードとして登録できます。
除外登録をしておくと、そのキーワードで検索しても広告が表示されなくなり、費用対効果が上がるだけでなくコストの削減にもつながります。
広告効果の最大化とはつまり、いかにコンバージョンにつながるユーザーを集めるか、ということになるため、除外キーワードの登録による絞り込みは欠かせません。ユーザーがどういったキーワードで検索し、広告をクリックしているのかについては検索クエリで確認できます。
広告文とキーワードの関連性を高める
コンバージョンにつながるユーザーを増やすにはまず、広告をクリックしてもらわなくてはなりません。リスティング広告は掲載順位が決まっており、費用をかける以外にも順位を上げる方法があります。
広告ランクを上げる
クリック率を上げるには優先的に広告が掲載されるよう、広告の掲載順位を上げる必要があります。リスティング広告は「広告ランク」によって掲載順位が決まっており、この広告ランクが高いほど優先して掲載してもらえます。
広告ランクは次の計算式で算出されます。
広告ランク=品質スコア×上限クリック単価 |
品質スコアとは、表示された広告がユーザーにとって適切かどうかを評価する指標のことで、10段階で表され、数字が大きいほど評価が高いことになります。
続いて上限クリック単価ですが、リスティング広告とは、入札オークション制です。企業は「クリック単価はこの金額まで支払う」といった入札によって広告配信を行っているため、この入札額が「上限クリック単価」となります。
そのため、たとえ上限クリック単価が安くても、品質スコアが高ければ広告ランクを上げられます。
広告文とキーワードの関連性を高める
広告ランクを上げ、優先して広告を掲載してもらえるようになれば、ユーザーの目に留まる機会が増えるため、クリック率の増加が期待できます。
しかし、確実に広告をクリックしてもらうにはユーザーの興味や関心を引く必要があります。広告文の見出しにキーワードを盛り込むなど、検索した内容と関連のある広告だと一目で判断できるような広告文を作成しましょう。
ランディングページを改善
クリック率は低くないのにコンバージョンにつながらない場合、ランディングページ(LP)に問題があるかもしれません。
広告をクリックすると表示されるランディングページとは、1ページで訴求からコンバージョンまで完結できるため、少し改善するだけでも効果が期待できます。
自社サイトで商品やサービスをアピールする時に気をつけなければならないのがブランドイメージとのバランスです。あまりアピールが強くなってしまうとブランドイメージを損なってしまうおそれがあるためです。
しかし、ブランドイメージを気にしすぎるとアピールが足らず売上につなげられません。その点、ランディングページはリスティング広告から商品やサービスの購入といった目的を持って移動してきたユーザーが触れるページなので、多少アピールが強くても抵抗なく見てもらえます。
確実にコンバージョンにつなげられるよう、魅力のあるページ作りを心がけましょう。
効果測定から効率運用を
リスティング広告を行ったら、定期的に広告効果や費用対効果を確認する必要があります。クリック数やコンバージョン率はもちろん、広告費用に対する売上金額や利益の割合といった広告効率をチェックしましょう。
思ったような効果が得られていなかった場合はその原因を探り、キーワードや広告文の見直しを行います。この原因の究明や分析は今後の広告展開を行う際にも有益な情報として役立てられるため、時間をかけてしっかりと行う必要があります。
リスティング広告の費用対効果
広告に対する費用対効果を確認するには数・率・単価の視点からチェックしていきます。
認知インプレッション効果 | 誘導トラフィック効果 | 獲得レスポンス効果 | |
数 | 広告が表示された回数 | クリック数 | コンバージョン数 |
率 | クリック率 | コンバージョン率 | |
単価 | インプレッション単価 | クリック単価 | 顧客獲得単価(CPA) |
リスティング広告の効果検証の手法
リスティング広告の効果を検証する際は、データの中で数値の動きが大きかった部分から変化の原因を探っていきます。媒体やキャンペーンなど広告別に指標を比較し、全体の良し悪しの判断、それぞれで極端にいい・悪いものがある場合は詳細まで確認する必要があるでしょう。
検索クエリにてキーワードごとに費用やコンバージョン数などを分析し、不要なキーワードがないか確認します。リスティング広告の場合は広告文も分析が必要です。
広告文と、クリック後のランディングページとの整合性が取れているか、ユーザーが知りたい情報が揃っているかなどを確認するとともに、競合他社がどのような広告文を配信しているかもチェックしましょう。
効果が出ない場合の注意点
広告配信を行っても思うような効果が出ない場合、ターゲットユーザーにアプローチできていないことが考えられます。
リスティング広告はエリアや性別、年齢といった絞り込みはもちろん、曜日や時間帯まで配信設定が可能です。
クリック数は高いのにコンバージョンにつながらない時は、ランディングページや自社サイトに問題がある場合も考えられます。
今はタブレットやスマホからの閲覧も増えてきているため、モバイル対応されていないWebサイトは見づらく敬遠されがちです。アプローチしたいユーザーにピンポイントで届けられるよう、工夫してみましょう。
リスティング広告で効果が出やすい商材
リスティング広告は、対象の商材の種類によって効果に差が出ます。ここからはリスティング広告で効果が出やすい商材の一例をご紹介します。
利益率が高い
1つ売れただけで広告費用が回収できてしまうような、利益率の高い商品やサービスはリスティング広告に向いています。一般に人気がある商品やサービスはどうしてもクリック単価が高くなりがちですが、広告費の高さと利益率の高さは必ずしも比例しません。
不動産やブランド家具・家電など、利益も高額になる高額商材や、原価が安く、利益率の高い商材を取り扱っている場合はリスティング広告で効果を得やすいでしょう。
リピートされやすい
では、利益率の低い商材はリスティング広告を出さない方がいいのかといえばそうとも言い切れません。スキンケア用品や日用雑貨などのリピート購入される商材なら、いずれ利益が広告費を上回ります。
リピート購入が予想される商材を取り扱っている場合は慎重に顧客獲得単価(CPA)の算出を行う必要があるでしょう。
急ぎのニーズがある
緊急性の高い商材はリスティング広告と相性がいいです。キッチンやトイレなどの水回りの修理といったすぐに対処が必要なものについて、検索結果からじっくり比較検討するといったユーザーは多くないでしょう。
こういった場合、目的を持って広告をクリックするため、コンバージョンにつながりやすく、検索結果の上部に表示できるリスティング広告はとても有利です。
リスティング広告で効果が出ない原因
広告文に興味や関心を持ってもらい、商品やサービスの購入といったコンバージョンにつなげることを目的としたリスティング広告ですが、思うような効果が表れない場合もあります。
キーワードの設定が適切でない
まずはキーワードの見直しを行いましょう。多くのユーザーの目に留まるよう、キーワードを多く設定している場合もあるかもしれませんが、コンスタントにコンバージョンにつながるキーワードを洗い出し、そのキーワードから展開させるなどの設定を行います。
また、キーワードに合わせたマッチタイプの見直しも有効です。マッチタイプには、以下の4つがあり、使い分けることで少ないキーワードでも効果を得られます。
- 完全一致
- 絞り込み部分一致
- 部分一致
- フレーズ一致
ターゲットが広すぎて広告が最大限露出できていない
リスティング広告は入札制のため、人気の高いキーワードは競合が多く、クリック単価が高額になりがちです。
そのため、すぐに1日の上限予算に達してしまい、せっかくの広告が配信を制限されてしまうことがあります。この配信制限の割合を「予算によるインプレッションシェア損失率」といい、広告の表示機会をどれだけ損失したのか、広告の運用効率を把握する際に役立ちます。
予算によるインプレッションシェア損失率を改善するには予算の増額が手っ取り早いですが、そう簡単にいかない場合もあるでしょう。
そんな時は品質スコアを上げるなど、広告ランクを見直したり、キーワードを精査したりしてターゲットを絞るなどの方法があります。
LPが弱い
クリック数はあるのにコンバージョンにつながらない場合はLPに課題があるかもしれません。広告をクリックすると表示されるLPには、ユーザーが必要とする情報を盛り込みつつも視覚的に興味や関心を引く内容にしなければなりません。
商品やサービスの価格や詳細といった情報量が少ない、競合との違いがわかりにくい、画面が見づらいなどといったものはすぐに改善できるのでよく確認しましょう。
そもそも商材がリスティング広告に合っていない
あらゆる施策を試してみても広告の効果を感じられない場合、そもそもの商材がリスティング広告に向いていないおそれがあります。
検索結果に広告を表示できるリスティング広告は知名度や認知度向上に役立ちますが、利益率が低いものや一度購入すればしばらく必要のないような商材には不向きです。他の広告手法などを検討してみる必要があるでしょう。
適切なアプローチでリスティング広告の効果を最大化しよう
リスティング広告はターゲットとなるユーザーにピンポイントでアプローチできる広告手法で、掲載期間や広告文などを柔軟に設定できる点が魅力です。しかし、細かく柔軟な設定ができるということは、それだけ管理や分析が必要ということにもなります。
広告の効果を数値として把握することで原因や改善策が見えてきます。
最終的な目標であるコンバージョン率の向上につなげるためには、ターゲットの絞り込みやキーワードの選定、LPの改善などが有効です。
広告文はいくつかのバージョンを試してみる、キーワードはビッグワードだけでなくミドルワードやスモールワードなども効果的に盛り込むなど、あらゆることを試し、限られた予算の中でリスティング広告の効果を最大化させましょう。