マーケティング2021.03.12
目次
DX(デジタルトランスフォーメーション)は、社内のデジタル化で集積された膨大なデータを活かして、ユーザニーズを掴み新たなビジネスモデルへ活用していくことが重要です。
集積したデータの活用やユーザニーズを掴むのに、基礎知識として購買行動プロセスを理解しておくことをおすすめします。
ここではさまざまな購買行動プロセスの特徴をご紹介します。
そもそもよく聞くマーケティングファネルとは
ファネルとは「漏斗(じょうご・ろうと)」のことで、逆三角形の形をしています。
消費者の認知から購入に至るまでのプロセスでは、購入に近づけば近づくほどその数が少なくなります。消費者の購買フェーズとその人数を図にするとファネルの形のようになるため、マーケティングファネルという用語として使用されるようになりました。
マーケティングファネルには大きく分けて3つあります。
パーチェスファネル
パーチェス(purchase)とは「購入・購買」のことです。
パーチェスファネルは、消費者が購買に至るまでの購買行動プロセスを示した略語で、マスメディア広告全盛期に浸透したAIDMA(アイドマ)モデルから発展したものです。
AIDMAによる購買までの行動プロセスは、
1.情報を見て商品を知る(Attention)
2.消費者が商品に興味・関心を持つ(Interest)
3.商品が欲しくなる(Desire)
4.商品やブランドを記憶する(Memory)
5.行動(購買)する(Action)
となっています。
これをパーチェスファネルでは「認知」→「興味・関心」→「比較・検討」→「購入・申込」の購買フェーズとなっていて、マーケティングファネルと言ったら、まずはこの「パーチェスファネル」を示すことが多いです。
インフルエンスファネル
インフルエンスファネルとは、消費者が購入したあとの行動を図にしたもので、その形はパーチェスファネルとは逆で、下に行くほど数が増える三角形の形になります。
「継続」、「紹介・共有」、「発信」の順に並び、口コミやレビューといったインターネット上で気軽に消費者が発信できるようになったことで生まれたモデルです。
商品を購入した顧客が「継続(リピート)」して商品を購入するようになり、リピートでその商品の良さをさらに実感すると友人や知人などへ「紹介」するようになり、SNSや商品レビューで情報を「発信」するというような、一連の流れを示したものです。
特にBtoCにおいては、顧客が発信する口コミや紹介は大きな影響力を持ちます。
ダブルファネル
ダブルファネルとは、パーチェスファネルの下にインフルエンスファネルを付け加えたモデルです。
パーチェスファネルで購入に至った顧客をファンとして囲い込み、さらに広範囲への発信で潜在層から新規顧客を獲得していくマーケティングの考え方です。
購入がゴールではなく、その後の顧客に対するフォローや顧客満足度を高める施策などを、しっかりと設計することが重要となります。
変化し続ける消費者の購買行動プロセス
急速に変化する時代に合わせて、フレームワークもさまざまなものが登場しています。
先にご紹介したAIDMAの他にも、AISAS、AISCEAS、AIDCASなどがあります。
AISAS(アイサス)
2005年に電通が商標登録した用語で、消費者の購買行動モデルの一つです。インターネットの発達で消費者の行動にも変化が起こり、その特徴をまとめています。
1.情報を見て商品を知る(Attention)
2.消費者が商品に興味・関心を持つ(Interest)
3.商品やブランドを検索する(Search)
4.行動(購買)する(Action)
5.購買後に共有する(Share)
その特徴は、今までの受動的な消費者行動ではなく、「検索」や「共有」などが加わって、能動的なものになっていることです。購入をゴールとせず、「共有」することで、再度ユーザーが「商品を知る」というプロセスにつなげられます。
AISCEAS(アイシーズ・アイセアス)
AISCEASとはAISASと同時期の2005年にアンヴィコミュニケーションズが提唱したモデルです。
1.情報を見て商品を知る(Attention)
2.消費者が商品に興味・関心を持つ(Interest)
3.商品やブランドを検索する(Search)
4.商品を比較する(Comparison)
5.商品を検討する(Examination)
4.行動(購買)する(Action)
5.購買後に共有する(Share)
AISASの考えに「比較」と「検討」の段階が追加されたもので、消費者の購買の意思決定にインターネットが大きく影響を及ぼすことを象徴しているモデルです。こちらのモデルも購入をゴールとせず、「共有」することで、再度ユーザーが「商品を知る」というプロセスにつなげられます。
AIDCAS(アイドカス)
従来使われてきたAIDCAにSが追加されたモデルです。
1.情報を見て商品を知る(Attention)
2.消費者が商品に興味・関心を持つ(Interest)
3.商品が欲しくなる(Desire)
4.消費者が自身のニーズに対する確信を持つ(Conviction)
5. 行動(購買)する(Action)
6.消費者が購入した商品に満足する(Satisfaction)
こちらのモデルも購入をゴールとするのではなく、消費者が購入した後の「満足」までを見据えているのが特徴です。 近年注目されているカスタマーサクセスの考え方を取り入れたフレームワークと言えるでしょう。
まとめ
時代の移り変わりと共に急速に変化する消費者行動に合わせ、様々な購買行動プロセスが提唱されています。
それぞれのモデルの特徴を理解し、顧客の購買に向かう心理を掴むことができれば、その段階にあったアプローチやサービスを提供でき、その試行錯誤によって新たなビジネスモデルが構築されていきます。
DXは世の中のニーズを素早くキャッチしていくことが重要なため、変化する消費者行動にも注目するようにしましょう。