リターゲティング広告の費用対効果はどれくらい?仕組みやメリットを解説

リターゲティング広告の費用対効果はどれくらい?仕組みやメリットを解説

Web広告2021.03.30

目次


インターネット広告にはさまざまな種類がありますが、費用対効果の高い広告として人気が高いのが「リターゲティング広告」です。ターゲティングのひとつであるリターゲティングですが、どんなものかよくわからないという方もいるでしょう。


そこでリターゲティングの仕組みやメリット、費用対効果について解説していきます。


リターゲティングの基礎知識


リターゲティングの基礎知識


インターネット広告上のターゲティングの一つである「リターゲティング」を耳にしたことはあるけど実はよくわからないという人もいるでしょう。リターゲティングとはどんな手法なのか、定義や名称、種類ついて解説していきます。


リターゲティングの定義とは


リターゲティングとは「自社サイトを訪れたユーザーを追跡し、自社サイトの広告を表示する」広告手法です。


自社の商品に興味があり、購入見込みのあるユーザーに時間差でアプローチできますので、購入に至る可能性が高くなります。


実際の店舗での商品購入に比べ、Webサイトで商品を検索している場合は他の商品との比較が容易なため、ページからの離脱が早くなります。


また関連ページを閲覧していくうちに選択肢が増えてしまい「購入はまた今度にしよう」、「もう少しじっくり比較してから決めよう」、「やっぱり今すぐには必要ない」など、購入の意志が削がれてしまう場合も少なくありません。


商品に興味を持っていながらも離れてしまったユーザーに、広告としてアプローチすることで購入意欲を高めるリターゲティングは、自社の商品を知らない・まったく興味がない層に成果が出やすいターゲティング手法として人気があります。


リターゲティング、リマーケティングの違いとは


追従型広告であるリターゲティングと似た名称を持つ広告に「リマーケティング」があります。


これはGoogle社の呼称であり、意味はリターゲティングと同じです。


Google社とともに広告配信事業者として有名なYahoo社は、サービススタートの2013年に「サイトリターゲティング」の商標登録を行っています。


「リターゲティング」は、2008年に株式会社マイクロアドが商標登録を行っており 、そのころからリターゲティング広告が浸透し始めました。


リターゲティングは「リタゲ」、リマーケティングは「リマケ」と略して呼ばれることもあり、今では効果的な広告手段のひとつとしてその地位を確立しています。



リターゲティング、リマーケティングの違い


リターゲティングの種類について


購入見込みのあるユーザーに効果的に働きかけるリターゲティング広告には、4種類あります。それぞれの特徴をみていきましょう。


標準リターゲティング


自社サイトを訪れたことのあるユーザーに対して、Webサイトやアプリに広告配信し、再度自社サイトへの訪問を促す手法です。比較検討の最中であれば、商品選定の後押しとなり、購入の先延ばしをしていた場合は再度検討してもらうきっかけを作ることができます。


動的リターゲティング


標準リターゲティングに少し応用を加えたのが動的リターゲティングです。ユーザーが過去に閲覧した商品だけでなく、関連性のある商品の情報を含めた広告を表示させます。


商品選定の後押しとなるだけでなく、ユーザーの興味に沿った商品が表示されやすいため、購入の可能性を上げられます。


検索向けリターゲティング


自社サイトを訪れたことのあるユーザーが、検索エンジンなどで検索を行っている際に広告を表示させることを検索向けリターゲティングといいます。商品を検討しながらも購入に至らなかったユーザーに対し、再度商品を見てもらうことで購入を促すことが可能です。


 動画リターゲティング


自社の動画を視聴したユーザーを追跡し、Webサイトやアプリを閲覧している際に自社の広告を表示させる手法を動画リターゲティングといいます。動画の視聴中に興味を持ってもらえたとしても、その後にわざわざ検索してもらえる可能性は低いです。


動画リターゲティングは、追いかけてユーザーの興味を引き出し、購入意欲を高める効果に期待できます。


リターゲティング広告の仕組み


リターゲティング広告の仕組み


自社サイトを訪れた後に離れてしまったユーザーに効果的な広告配信ができるリターゲティング広告の仕組みを理解しましょう。仕組みを理解することで、効果的かつ成果が出やすい利用をしやすくなります。


クッキー機能を理解する


リターゲティング広告で欠かせないのがクッキー(cookie)です。


クッキーとは、Webサイトを訪れたユーザーの識別するために、一時的に閲覧履歴などの情報をユーザーの使用端末に保存する仕組みをいいます。ユーザーの情報を記録しておくことで、再度Webサイトを訪れた時にサイト側は「再訪問したユーザーである」と識別できるメリットがあります。


ログイン状態のままでカートに商品が入ったままページの移動ができますので、ユーザー側にもメリットのある機能です。クッキーを利用し、ユーザーの再訪問や閲覧履歴を情報として得ることで、ユーザーの興味や関心を把握できるため、効果的なリターゲティングが可能です。


クッキーと混同されやすい「キャッシュ」は、訪れたWebサイトのページ情報を一時的に保存しておくことで、再度訪問した時の表示スピードを上げる機能をいいます。


Webサイトのページ情報を記憶するキャッシュに対し、ユーザーの情報を記録するのがクッキーだと考えるといいでしょう。


顧客情報を得るためのタグを埋め込む


クッキーの機能を利用し、ユーザーを追跡するリターゲティングは、Webサイトにタグを用意しなければなりません。このタグを特定のページに埋め込むことで、ページを訪れたユーザーにクッキーが付与されます。


クッキーが付与されたユーザーを追跡し、リターゲティング広告が展開されるという仕組みです。


ユーザーをリスト化


タグと同様にリターゲティングに必要なのがリストです。リストとは、特定のページを訪れ、タグが付与されたユーザーを一覧にしたものになります。


リターゲティングを行う際は、さまざまなセグメントに応じたリストを作成することが重要です。


自社サイトを訪れたユーザー全員や、特定のページを訪れたユーザーから、さらに対象を絞り込んだリストの作成も有効です。



  • 特定の期間にWebサイトを訪問した
  • 特定のデバイスを使用している
  • 特定の性別や年齢
  • 商品を購入した


商品によっては、一度購入すればしばらくは必要のないものもあれば、定期購入が必要になることもあります。これらを細かく分けることで関連するものや付属する消耗品などの紹介をして、リピート購入を促すリストの作成も可能です。


リターゲティングを効率よく行うためにはリストの精度を上げていくことを心掛けてください。


リターゲティングの費用対効果は?期待できる効果について


期待できる効果について


ユーザーが検索したキーワードに応じた広告を検索結果画面に表示させる「リスティング広告」などに比べると、ユーザー情報を追跡して行うリターゲティング広告は費用対効果が高いといわれています。


導入するとどのような効果が期待できるのかみていきましょう。


見込み客へ再アプローチできる


リターゲティング広告の最大の魅力は、購入見込みのあるユーザーに再度アプローチができることです。


一般的にWebサイトを訪れたユーザーの約9割が購入まで至らずにページから離れてしまうことから、一度自社サイトへ訪れただけでは商品の購入までつなげられないというのが現状です。


他社の商品と比較検討したい、時間をかけて検討したい、興味はあるけど今すぐ必要というわけではないなどと購入まで至らない理由はさまざまですが、そういったユーザーに対してリターゲティングによるアプローチを行うことで購入意欲を高める効果を期待できます。


商品購入の決め手に欠ける場合、より多く目に留まった商品を選ぶというのは自然な心理です。


ユーザーにタイミングよくアプローチできるリターゲティングは機会損失の回避に有効な手段になるでしょう。


CV率の高いリピーターに接触できる


CV(コンバージョン)率とは、Webサイトを訪れたユーザーが商品購入や資料請求、サービスへの申し込みを行うなどの成果(コンバージョン)を上げたユーザーの割合を表すものです。


企業により成果の基準は異なりますが、ユーザーが自社サイトに訪問した後にどれくらいの成果が上がったのかがわかるCV率は、売上はもちろん、Webサイトのパフォーマンスを知るうえでも重要です。


一般的に、ECサイトなどは新規のユーザーよりもリピーターの方がCV率は高い傾向があります。


一度も利用したことのないサイトよりも利用したことのあるサイトの方が使い勝手もわかっていますし、面倒な登録作業なども省けるだけでなく「過去に問題なく商品購入ができた」という安心感があります。


そのためCV率の向上を目指すなら、見込みのあるユーザーにアプローチできるリターゲティングが効果的であるとともに、CV率の高い“リピーター”に的を絞ったアプローチが可能です。


リストの活用によりターゲットに応じた広告が行える


リターゲティングでは得られたユーザー情報からさまざまなリストの作成が可能です。性別や年齢別による商品のアプローチはもちろん、興味を持っている商品の性質に合わせたアプローチができます。


たとえば高額商品や、デリケートな悩みに関する商品などの場合、すぐに購入に至ることは少ないです。


他社の商品と比較したり、口コミをチェックしたりと、慎重に検討するため、購入に至るまでの時間が長い傾向にあります。


しかしその検討時間こそがリターゲティングによりユーザーを獲得するチャンスです。


ユーザーが自社サイトを訪問した後、リターゲティングにより定期的なコミュニケーションを取り続けることで自社商品を比較検討の対象と認知してもらい、CV率の向上につながります。


他社の商品と見た目や性能に違いの出にくい商品や、比較検討時間が長くなる商品はリターゲティングが非常に効果的です。


リターゲティングの費用対効果は?注意すべき点について


注意すべき点について


自社の商品に興味を持つユーザーに対し高い広告効果が期待できるリターゲティングですが、導入する際は注意しなければならない点がいくつかあります。効率よくリピーターを獲得するためにもしっかりと把握しておきましょう。


新規客の獲得には適さない


リターゲティングは「自社商品に興味があり、自社サイトを訪れつつも購入に至らなかったユーザー」を対象にアプローチを行う広告手法のため、認知の拡大や、新規の顧客開拓には向いていません。


リターゲティングにより潜在的なユーザーを獲得することでCV率の向上は期待できますが、リストによる広告展開には限界があり、ある程度までいくと成果は伸び悩み始めてしまいます。


広告のマンネリ化からリピーターが離れてしまうなどのリスクもあるため、リターゲティングと並行して認知度を上げるたり、新規顧客を獲得したりするための広告を展開する必要があります。


そうすることでリターゲティングの効果が発揮しやすくなり、成果の伸び悩みを防ぐことに期待を持てるでしょう。


緊急性の高い商材には向いていない


前述の通り、リターゲティングは他の商品と比較したり、性能を調べたり、検討時間が長い商品に対して効果的な広告手段です。


そのため、緊急性の高い商品には向いていません。


たとえば、住宅のリフォームを取り扱う企業であれば、高齢化にともなうバリアフリー化や老朽化によるシステムキッチンの入れ替えなど、予算や材質、デザインや使い勝手などを検討しながら時間をかけて決めるため、リターゲティングは有効な広告手段です。


しかし緊急性がある住宅の修理を取り扱う企業の場合はどうでしょうか?すぐに修理の依頼先を選定しなければならず、時間をかけて他社と比較検討する流れにはならないでしょう。


このようなケースは、リターゲティング広告を行ってもあまり意味がありません。


このようにメリットを発揮できない分野もあるということを理解しておく必要があります。


ユーザーの質、量によって効果が左右される


効果的なリターゲティングを行うには、自社サイトを訪れたことのあるユーザー、特定のページを閲覧したユーザーなど、さまざまなリストの作成が必要不可欠です。このリストの精度の高さが効率のよいアプローチを支えます。


しかしどんなリストも十分なデータ量がなければその効果が発揮できません。


分母の小ささはそのままリストの効果の低さにつながってしまうだけでなく、本来なら弾くはずの不要なデータも取りこんでしまうため、質の悪いユーザーにも追跡してしまい、期待するほどの成果を上げられないおそれがあります。


より高い成果を上げるためにはまず、質のよいリスト作りから始めてください。広い範囲からユーザーを集めるため、ディスプレイ広告など、認知度を拡大するための広告手段を検討しましょう。


リターゲティングを行えば簡単に成果が出せるという単純なものではない性質を持っている広告です。


配信方法が多様で運用が難しい


リターゲティングは自社の商品に興味や関心があるユーザーに効果的な広告手段ですが、配信方法が多く、運用にコツが必要です。


リストの質がよくなかったり間違った配信方法を選択していたりすると、いくらリターゲティングを行っても思うような効果を得られないので注意してください。


そこで、主に活用されている配信方法をご紹介しましょう。


バナー・ディスプレイ広告


バナー・ディスプレイ広告


リターゲティングの効果を上げる有効的な手段の一つが、よりユーザーの目に留まりやすい環境を作ることです。


GoogleやYahoo!などが提供するバナーやディスプレイといった、リターゲティング広告を配信する枠を増やすことで機会損失を回避します。


リターゲティングは見込みのあるユーザーに効果的な広告手段とはいえ、ユーザーの目に留まらなければ意味がありません。なるべく多くの枠を用意することでアプローチする機会を増やしましょう。


その際、レスポンシブ広告の利用も検討してみてください。


レスポンシブ広告とは、Webサイトやデバイスに応じて広告サイズを自動で調整してくれますので、あらかじめ各バナーに向けた広告を用意せずに済みます。


コンテンツディスカバリー広告


コンテンツディスカバリー


リターゲティングにはコンテンツディスカバリー広告も有効です。


コンテンツディスカバリー広告とは、Webサイトで記事やコラムの最後におすすめや関連する記事・コラムとしてコンテンツを表示させる広告手法をいいます。


自社サイトのトップページのみなど、商品ページまで行かずに離れてしまったユーザーに対して、商品をアピールする記事やコラムをおすすめすることで興味や関心を持ってもらうことが可能です。


それにより再度、自社サイトまで誘導し、より興味や関心を引けるような記事やコラムをおすすめしたりできるのでCV率の向上が期待できます。


コンテンツディスカバリー広告の特徴は、コンテンツごとに広告の設定が可能な点です。


その特徴を最大限に活かすためには有効なリストの作成が欠かせません。


ソーシャルメディア(SNS)広告


TwitterやFacebookのソーシャルメディア(SNS)は一大市場となっており、リターゲティングの効果が期待できます。


Twitterでは「テイラードオーディエンス」、Facebookでは「カスタムオーディエンス」と呼び方が異なり、それぞれに設定が必要ですが、自社の公式SNSをフォローする広告を出すことが可能です。


SNSは1日に何度もチェックしたり、投稿したりすることが珍しくないことや、移動や空き時間などの暇つぶし用ツールとしても浸透しているため、閲覧回数の多さから効果的な訴求ができます。


またフォローの状況が他者から確認できることから、二次的なアプローチも期待できます。


ニーズを的確に捉えてリターゲティング広告の配信を


自社サイトに訪れたことがあり、自社の商品に興味や関心があるユーザーに対して、追跡してアプローチを行うリターゲティング広告は、CV率の向上に非常に効果的です。


リターゲティングと似た言葉で「リマーケティング」というものがありますが、リマーケティングはGoogle社で使われる言葉というだけで意味は同じです。どちらも略して「リタゲ」「リマケ」と呼ばれるほど浸透した広告手段となっています。


費用対効果の高いリターゲティングですが、その特徴を活かすには質のよいリスト作りが欠かせません。


より多くのデータを集めるためにも、リターゲティングだけでなく、新規顧客の獲得を目的とした広告を打ち出す必要があります。


分母が大きければその分、活用できるデータ量も増え、精度の高いリストが完成します。そうして出来上がったリストを基に、あらゆる配信方法を活用してCV率の向上を目指しましょう。


ただしリターゲティングには向かない分野もあり、その見極めも重要です。


ユーザーの抱える潜在的なニーズを的確にとらえたうえで、リターゲティングを行うことが効果的な広告を成功させるポイントになります。