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Webマーケティング2021.03.31
目次
「テレビCMからYouTube広告の時代に」という声が聞かれます。そう言われても不思議ないくらいYouTube動画の視聴者は増え、「ユーチューバ―」は子どもたちの憧れの職業になりました。
企業のWeb広告担当者にとっても、YouTubeのTrueView広告は広告戦略上無視できない媒体になりつつあります。
この記事では、TrueView広告の概要とメリット・デメリット、運用のポイントを分かりやすく解説しています。
TrueView広告とは?
TrueView(トゥルービュー)広告とは、YouTubeの視聴者に配信される動画広告の総称です。YouTubeは2006年にGoogleに買収されたため、Google広告のアカウントで設定や編集を行ないます。
TrueView広告には「インストリーム広告」と「ディスカバリー広告」の2種類があります。
TrueView インストリーム広告
インストリーム(instream)とは「流れ込む」という意味で、TrueView インストリーム広告は、YouTubeの本編動画が始まる前あるいは中間で流されます。視聴者は広告動画がスタートしてから5秒後に広告を「スキップ」することができます。
広告費用は、視聴者が動画を30秒以上視聴したとき、あるいは「詳しくはこちら」のボタンを押すなどのアクションを起こしたときに発生します。つまり、視聴者が興味を持って広告を観た場合にだけ課金される仕組みです。
また、広告から自社サイトに誘導できるだけでなく、「カートに入れる」ボタンを設置するショッピング機能も実装されています。
TrueView ディスカバリー広告
TrueView ディスカバリー広告は、再生中の動画ではなく、次の2つの場所に掲載されます。
・YouTubeの検索画面 : サイト内の検索欄にキーワードを入力したときに表示される目次画面
・関連動画の欄 ; パソコン画面では本編動画の右側の関連動画を紹介する欄に表示される(全画面で視聴するときは表示されません)
視聴者が広告のサムネイル画像(バナー)をクリックすると、広告主のサイトが表示されるか広告動画がスタートします。
ちなみに広告費用は、視聴者がサムネイル画像をクリックしたときに発生します。
バンパー広告(6秒間の短い動画広告)
上記の2つ以外に「バンパー広告」という6秒間の動画広告もあります。バンパー広告は本編動画の再生中に挿入される動画広告で、視聴者はスキップすることができません。
広告費用は広告表示回数に基づくインプレッション課金となっており、1,000回再生されるごとに課金されます。
TrueView広告の特徴
TrueViewインストリーム広告の特徴は、視聴者が5秒後にスキップすることができ、スキップされた場合は課金されないことです。
インストリーム広告はテレビのCMと同じで、番組本編の前や途中に、視聴者の意思に関わりなく流されます。そのため、どちらも視聴者に観たい番組の「中断」というストレスを与えることになります。
しかしインストリーム広告はスキップできるため、このようなストレスが比較的小さいのが特徴です。ストリーム広告は、5秒以内に「スキップを忘れさせるインパクト」を視聴者に与えることで、効果が上がる広告なのです。
また、TrueView ディスカバリー広告も、視聴者がクリックしなければ課金されないのが特徴です。
TrueView広告のメリット・デメリット
YouTubeのTrueView広告のメリットとデメリットには以下のようなものがあります。
5つのメリット
1. 動画なのでWebサイトよりもイージーに視聴できる
インストリーム広告は動画なので、テレビCMを観るように気楽に視聴できます。商品の使い方なども、文章で説明するより分かりやすく表現できます。
2. YouTubeの視聴者がテレビに迫る勢いで増えている
Googleの発表によると、2020年9月のYouTubeの視聴者は6,500万人以上で、アップロードされた動画の数は2019年より180%増加しています。
新型コロナウイルスの流行以降にYouTubeを見る機会が増えたと答えた人は74%にのぼっており、YouTubeは「なくなったら最も寂しいプラットフォーム」の1位にあげられています。
3. スキップされなかったとき・クリックされたときだけ費用が発生
TrueView広告は、スキップしないという消極的な意思表示、あるいはクリックするという積極的な意思表示があったときにだけ課金されるので、ムダ打ちがありません。
4.テレビCМよりも広告出稿のハードルが低い
動画制作に費用はかかりますが、テレビのCM制作よりは安く上げることができます。また、またテレビのような放映枠を確保する費用(媒体費)が不要です。
5.管理画面で詳細なターゲティングや指標管理ができる
TrueView広告はGoogle広告のアカウントで管理・運用するので、デジタルマーケティングのさまざまな機能を利用できます。年齢、性別、興味、地域などターゲティングはもちろん、リマーケティング機能もあります。
2つのデメリット
TrueView広告のデメリットには次の2つがあります。
1.動画の最初の5秒間にインパクトがないとスキップされる
広告動画の後半でいいことを言っていても、スキップされてしまえば視聴者には届きません。ターゲットがスキップしないような動画を制作する工夫が必須です。
2.強制的に流入するため、ネガティブイメージを与えない配慮が必要
スキップされないインパクトが必要といっても、視聴者にストレスを与えて商品にネガティブイメージを与えるような内容は逆効果です。
これらは、デメリットというよりTrueView広告を制作する際の注意点で、クオリティの高い広告でないと効果は上がらないのは、どのような広告についても言えることです。
TrueView広告の費用の目安
TrueView広告の費用は、社内管理費を度外視すると、動画などの広告制作費とGoogleに支払う広告課金です。
動画製作費
動画製作費は、自社制作して数万円で済ますこともできるし、専門業者に委託して数十万円あるいは百万円以上かけることもできます。
業者に依頼する場合は、50万円前後がもっとも多い価格帯だと言われています。最低でも20万円はかかり、80~100万円くらいかける企業もあります。
実写よりもアニメーションの方が制作費用は高く、すべてをオリジナルアニメーションで制作すると200~300万円以上かかる場合があります。
Googleに支払う広告課金
TrueView広告の視聴単価、クリック単価は広告主が自由に設定することができます。インストリーム広告では高い金額を設定するほど再生回数が増え、ディスカバリー広告では掲載場所が上位になります。
視聴単価を設定するには、まず動画の視聴1回について支払い可能な上限額を設定します。ただし、実際に請求される金額は、広告動画の「品質スコア」と「広告ランク」によって変動し、上限単価よりは低くなります。
「品質スコア」とは、視聴者にとっての広告の関連性の高さを示したもので、再生率などの種々のパフォーマンス要素によって決められます。「広告ランク」とは、決定された品質スコアと上限広告視聴単価とを掛けたものを他社の広告と比較した相対的なランクです。
広告単価の相場は商材の種類・ジャンルによっても異なりますが、インストリーム広告もディスカバリー広告も、上限金額を5円から10円に設定して、請求金額が2円~7円に着地するのが一応の目安です。
TrueView広告を運用するポイント
TrueView広告を運用するポイントは、ターゲットに刺さる上質の動画を制作することと、Google広告のアカウントに装備されているターゲティング機能や価格設定機能などのさまざま機能をフルに活用することです。
ターゲットに刺さる動画を制作する
広告動画そのものがターゲットに焦点が合っていないと、その後にどのような広告運用をしても効果は期待できません。
動画は一度制作したら終わりではなく、さまざまな指標を参考にしながら改善していくことが必要です。その意味では、最初から目いっぱいの予算をかけて動画を制作するのはリスクが大きいと言えるでしょう。
Google広告アカウントの諸機能をフル活用する
YouTubeのTrueView広告は、Google広告の管理画面で設定・運用します。管理画面ではクリック率やコンバージョン率などの効果測定指標を確認できるのはもちろん、ターゲットの年齢や興味、地域などを設定できます。これらの機能をできるだけ活用して広告を最適化していくことが重要です。
広告効果の指標数字を確認しながら、キーワード選定、ターゲット選定を見直し、リマーケティングを重ねていくことが重要です。
YouTubeアナリティクスでは、視聴者層の年齢や性別などが分ります。どの層に視聴されているかを確認して、その層にマッチする動画表現に改善していきましょう。
「視聴維持率」も確認したい重要な指標です。視聴者が何秒で離脱しているケースが多いかを把握しで、ぜひ伝いたいメッセージを離脱前に置くようにします。
まとめ
YouTubeのTrueView広告には、視聴者が30秒以上広告動画を観たときかクリックしたときだけに広告費用が発生するという、大きなメリットがあります。
また、テレビに比べて広告出稿のハードルが低いことや、Googleの広告管理画面から広告効果を多角的に確認できる点も見逃せない利点です。数々のメリットがあるTrueView広告の利用について、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。