
Webマーケティング2021.03.31
目次
「UGC(User Generated Contents)」は「ユーザー生成コンテンツ」「ユーザー作成コンテンツ」とも呼ばれるもので、分かりやすく言うと、「ユーザーの口コミ」の総称です。
UGCを自社コンテンツにうまく活用することで評判を高め、集客へつなげる手法も盛んになってきました。ただし活用時に注意を怠ると炎上のリスクもあるので、注意が必要です。
この記事では、企業のデジタル広告やWebマーケティングを担当する方に向けて、UGCの概要や注目される背景、そしてメリット・デメリットなどを解説していきます。活用時の注意点も解説するので、ぜひ参考にしてください。
UGCとは
UGCとは「User Generated Contents」の略語で「ユーザーが自発的に生成したコンテンツ」を指します。例えば、次のようなものがUGCに該当します。
・ECサイト内での口コミ
・SNSでの商品、サービスの利用に関する感想
・Googleマップで投稿されたユーザーレビュー
UGCは、インターネットの普及により爆発的に広がりました。今では至るところでインターネットユーザーがUGCを他の人へ共有し、コミュニケーションを取っています。
UGCが重要視される背景
企業が発信した情報は、色眼鏡を付けて見られるのが通常です。つまり「自社の商品やサービスを紹介するのだから、当然ひいき目にメリットを説明してくるだろう」という先入観からコンテンツを見られてしまいます。この点が企業発信のデメリットです。
しかしUGCには、商品やサービスを使ったユーザーの声が率直に書かれています。そこにはメリットだけでなくデメリットもしっかり書かれているため、それを見たユーザーが「自分と同じ目線で詳細を書いてくれている」と捉えやすく、信頼性の高い情報として採用する傾向があります。UGCを見た影響で商品やサービスを購入する人も増加中です。
また、SNSの活用が増えているのもUGC活用の背景にあります。SNSを使ってマーケティングを行う企業がUGCを上手く拡散できれば、自社の評判を高めてブランディングにもつなげられます。
UGCを導入するメリット・デメリット
UGCには、実際にどのような効果があるのでしょう。UGCを導入する際には、次のようなメリットとデメリットが発生します。
UGCを導入するメリット
UGCをマーケティングへ導入すると、次のようなメリットがあります。
・自社で発信した情報よりも親近感が出やすい
・サイテーションを増やせる
・UGCを基に新しいアイデアを集められる
UGCはユーザーが自発的に発信したコンテンツなので親近感が出しやすいのです。UGCをランディングページに貼り付けられれば、親近感を出してコンバージョンを増加させることも可能になります。
また、UGCを増やせれば「サイテーション」の増加につながる点もメリットです。サイテーションとは自社コンテンツに対する言及が行われることを指し、間接的なSEO効果が期待できる現象です。
UGCにより、企業が考え付かなかった商品・サービスの活用アイデアが紹介されるケースもあります。それらをフィードバックしてキャンペーンなどに活用できれば、さらなる認知度向上にもつながるでしょう。
UGCを導入するデメリット
UGCには、ユーザー発信という性質ならではのデメリットがあります。それが、次の3つです。
・情報が正確とは限らない
・ネガティブな投稿も寄せられる可能性がある
・無断で使用すると著作権侵害につながる
UGCは、ユーザーが自分の個人的な意見を書いているため、内容が正確とは限りません。間違った情報がユーザー間に伝わり、トラブルにつながる可能性もあります。
また「この商品やサービスは使わないほうがよい」というネガティブな投稿が発生しうる点に注意してください。ネガティブな投稿があったときには、落ち着いて対応するのが重要です。
さらに、ランディングページなどの自社コンテンツに無断でUGCを利用するのは禁止されています。UGCをユーザーの許可なくマーケティングに利用してしまうと著作権侵害にもつながるため、企業の評判が下がってしまう危険があります。
UGCが出やすい商品やサービス
UGCは、次のような性質を持つ商品やサービスで発生しやすい傾向にあります。該当の商品やサービスを提供している場合は、ぜひUGCを活用してみましょう。
人に勧めやすい
人に勧めてみたい!と思われる商品やサービスは、多くのUGCがインターネット上で共有される傾向にあります。例えば、
・ヒットしている映画
・インスタ映えするようなスイーツ
・ためになる内容が書いてあって面白い本
といった商品やサービスがよい事例です。
ただし、飲料水などの差別化が難しいものはUGCとして投稿しにくいため、この点も覚えておきましょう。
SNSなどに投稿しやすい
SNSなどに投稿しやすい商品やサービスも、UGCとして広まりやすいといえます。
例えば、化粧品は実際に顔や手などにつけてみて状態を見なければイメージがわきません。しかし購入前に状態を確認するにはサンプルを手に入れる必要があり、手に入らない場合はイメージしにくいのがデメリットです。
一方、SNS上にはインフルエンサーなどが投稿した注目化粧品のメイクアップ投稿が多数掲載されています。メイクアップ投稿は化粧後のイメージがわきやすく、化粧品の購買行動を促進してくれるのが特徴です。
物として存在している
UGCとして発信されやすいのは、実際に写真を撮影して共有できる「物理的に存在している物」です。デジタルコンテンツのサブスクリプションサービスなどは現実世界で写真を撮影できないので、UGCとして共有するのが難しい傾向にあります。
ただし音楽や映画といったコンテンツは自己表現の手段として使えるので、UGCとして共有を行い、共感を得ようとする人が多くいる点もポイントです。
UGC活用の注意点
UGCを活用する際は、次の点に注意しましょう。ここでは4つの気を付けたいポイントを解説します。
SNSでキャンペーンを実施する
活用できるUGCを増やせる一番の方法は、SNS上でキャンペーンを実施することです。商品プレゼントなどのインセンティブを付けたキャンペーンは、多くの新規ユーザーを獲得できる機会を与えてくれます。
例えば、次のような方法でUGCを拡散することができます。
・指定したハッシュタグでツイートを行ってもらう
・コメント付きリツイートを行ってもらう
・商品やサービスに関する写真付きで投稿を行ってもらう
ハッシュタグのみツイートやコメント付きリツイートは、簡単に参加できる代わりに、自社のファンではないユーザーも参加できるというデメリットがあります。
それに対して、商品やサービスに関する写真を投稿してもらう方法は、ファンが集まりやすい分、参加する人が少なくなるというデメリットがあります。パフォーマンスを確認しながらキャンペーンを実行してみてください。
情報が間違っている場合は訂正を依頼する
間違った情報が拡散してしまった場合、企業の評判が落ちてしまう危険もあります。また、サイテーションの面からも情報が統一されていないのはよくありません。
このため、UGCにおいて自社の情報に間違いがあった場合は、訂正を依頼するのも重要です。威圧的にユーザーへ訂正を迫るのではなく、礼儀正しく挨拶を行った上で「ここがこう間違っているから、こういう風に訂正してほしい」とユーザーにお願いしてみましょう。
印象がよければ、自社のファンが増えるきっかけにもなります。
二次利用についてユーザーから許可を取る
無断転載した扱いになってトラブルが起きないように、UGCの二次利用に関しては事前に許可を取るなどの対策を行いましょう。例えば、対策法としてこのようなことが考えられます。
・キャンペーンに参加した際は自動で二次利用に合意したとみなす
・気になるUGCに対しては直接アプローチを取って利用許可を取り付ける
キャンペーンに参加した際に二次利用への合意を自動で取り付けられれば、許可をいちいち取らないでよいので楽です。また、UGCに関してユーザーとコミュニケーションを取れれば、ユーザーのロイヤリティをより向上させることも可能になります。
状況に応じて適切な方法でUGCの利用許可を取っていきましょう。
定期的にUGCの内容をチェックする
UGCは単に二次利用できるだけでなく、新しいアイデアの情報源としても使えるコンテンツです。もし新商品やサービスの開発などに対してプロジェクトが行き詰ったときは、UGCを確認して情報を確認することで、新しい糸口が見えてくる可能性があります。
また、課題の洗い出しにもUGCが有効です。アンケートを取るといった手法を使わなくても、UGCにはユーザーの自社商品・サービスに対する問題点が紹介されています。
ユーザーが自社の商品やサービスに対してどんな不満を持っているのかを分析して次の戦略へ生かせれば、顧客満足度向上を達成するきっかけになるでしょう。
定期的に投稿されるUGCの内容をチェックしてマーケティングへ活かしてみてください。
まとめ
今回は、UGCの概要や注目される背景、そしてメリット・デメリットなどを解説してきました。
UGCはユーザーが自発的に発信しているという性質上、企業が発信する情報より親近感が出やすく、信頼性の高い情報として扱われています。マーケティングに利用できれば、自社の評判を高めてコンバージョンへつなげることが可能です。
情報が間違っている場合がある、自社の悪い評判も広がる可能性があるといった点に注意しながら、適切にUGCを集められる体制を作ってみてください。