
Webマーケティング2021.03.31
目次
Webサイトをみているときに、興味を持っている商品やサービスなどの広告が表示されることが頻繁に起きるのではないでしょうか。このように、個々のユーザーに最適化された内容で表示される広告をダイナミック広告といいます。
ダイナミック広告は、CriteoやFacebookでの表示からはじまって、現在ではGoogle(GDN)、Yahoo!(YDA)、Instagram、LINE、Twitterなどでも導入されています。
この記事では、企業のWeb広告を担当される方に向けて、ダイナミック広告の仕組みや運用のコツについて解説します。ユーザーに効率よく訴求できるWeb広告を求めている人は、ぜひ参考にしてください。
ダイナミック広告とは?
ダイナミック広告は、リターゲティング広告やリマーケティング広告の一種です。ECサイトなどでの閲覧履歴から、関連する商品の情報を配信します。データフィードを活用しているため、データフィード広告とよばれる場合もあります。
ダイナミック広告と比べられることが多いのが、あらかじめ決められた形で配信される、バナー広告などの「スタティック広告」です。
いずれもECの分野などで導入されている広告メニューで、リターゲティングに含まれますが、新規向けにも配信は可能です。タグとフィードの設定がとても重要な広告です。
ダイナミック広告の仕組み
ダイナミック広告は、バナー画像やテキスト文章などのクリエイティブが自動で生成されるのが、大きな特徴です。
広告は複数展開が基本ですが、さまざまな広告の作成には工数がかかります。広告担当者にとって複数の広告運用は、対応が難しいといえるでしょう。ここでは、自動生成の仕組みや効果について解説します。
広告クリエイティブが自動的に生成される
Web広告は複数展開が基本ですが、さまざまな広告の作成には工数がかかります。Web広告の担当者のなかには、複数の広告運用に苦慮しているケースも少なくありません。
ダイナミック広告は、Webサイトでのユーザーの行動履歴に基づいて、個々のユーザーに最適化された広告クリエイティブを自動的に生成します。大部分が自動化されているため、工数が削減できて、担当者の負担軽減にも役立ちます。
複数のクリエイティブを用意して、どの媒体にどのクリエイティブを出稿したらよいかわからなくなるといった、管理の手間も軽減されます。
コンバージョン率の向上につながる
ダイナミック広告はリマーケティングの一種で、ユーザーごとに異なる広告が表示されます。そのユーザーにとって興味関心のある情報だけが表示されるため、コンバージョン率の向上が期待できます。
ただし、タグとフィードの一致率が極端に低い場合などは、効果を得られません。正しい設定が行われている必要があるため、頻繁に確認を行いましょう。
ダイナミック広告の自動生成の仕組み
ダイナミック広告は、ECサイトで商品を購入せずに離脱したユーザー情報をもとに運用されています。離脱情報がサーバーに送られ、他のWebサイトを閲覧しているときに、離脱したサイトの広告が表示されます。これがダイナミック広告における、広告クリエイティブの自動生成の仕組みです。
h2:ダイナミック広告の種類
ダイナミック広告には、さまざまな種類があります。ここでは、代表的なダイナミック広告の種類について解説します。
FacebookとInstagramのダイナミック広告
Facebook・Instagramのダイナミック広告は、FacebookのIDに基づいた、高精度なターゲティングが可能です。ニュースフィードやMessenger、ストーリーへの配信もできます。
Facebookは実名で詳細な情報を蓄積しているため、効果の高い広告を配信できるのが大きなメリットといえるでしょう。
Googleダイナミック広告
Googleダイナミック広告は、データフィードに沿って画像、テキスト、URLを入れ替えることで、広告コンテンツをカスタマイズして配信する広告です。
Googleのデータフィードを活用するため、設定方法としては他のダイナミック広告よりも、わかりやすいのがメリットです。
Googleショッピング広告
Googleショッピング広告は、ユーザーが検索したキーワードと連動して、ユーザーが見やすい位置に表示される広告です。Google検索、Googleショッピング検索、Google画像検索の検索結果画面で、ユーザーが見やすい位置にテキストや画像を配置します。
ECサイト事業者にとっては、導入したい広告として注目されています。
Criteo広告
Criteo広告は、日本最大級の消費者行動データベースによるダイナミック広告です。Criteoの検索エンジンによる高い学習能力と、日本のオンラインユーザーの92%をカバーしているという網羅性が大きな特徴です。
多数のディスプレイ広告と提携した配信が可能であるため、高い効果が期待できる広告といえるでしょう。
LINEダイナミック広告
LINEはスマートフォン所有者の大部分が利用しているアプリです。その普及率の高さを活かして、FacebookやTwitterでリーチできない層への効果が高いのが大きなメリットです。
YDAの動的ディスプレイ広告
他のダイナミック広告に比べると、インプレッション数への効果があるため、CPMを抑えて配信ができるという特徴があります。Webサイトを指定して配信するなど、他のダイナミック広告にはない機能があるのもメリットの1つです。
SmartNewsダイナミック広告
大手ニュースサイト「SmartNews」のダイナミック広告は、ユーザーが興味を持つ情報の配信を、商品単位で行うことが可能な広告です。
日本最大級のニュースサイトで、ユーザー行動履歴にあわせた広告クリエイティブが自動的に配信されるため、CTRやCVRの高い広告運用が可能です。
ダイナミック広告の効果
アパレルのECサイトのなかでも、商品数の多いサイトでは、ダイナミック広告のクリック率やコンバージョン率が、静的広告の1.2倍に上昇したという例があります。また、ある企業では、Facebook広告のダイナミック広告を利用して、クリック率を5倍に改善できました。
ダイナミック広告は高い効果を期待できる広告メニューであり、特にECの分野では導入したい広告メニューといえるでしょう。不動産やホテルの予約サイトなどにも、ダイナミック広告は活用されています。
ダイナミック広告運用のコツ
ディスプレイ広告やリスティング広告では、 クリエイティブ検証、KW精査、ターゲティングの検証など、効果改善するためのポイントが明確です。
しかし、ダイナミック広告においては、運用者が設定できる項目が少なく、 広告媒体によっては入札CPCのみ設定し、後は機械学習に任せるといったケースもあります。 データフィードの最適化など、ダイナミック広告ならではの運用スキルが必要とされるため、広告運用の初心者のなかには、運用の難易度が高いと感じる人も少なくありません。
またフィードの情報と実際の情報が異なると、ユーザーが興味を持って広告をクリックしたのに在庫を切らしていたなどのケースもあるため、フィードのチューニングを定期的に行うなどの対応が必要です。
適切なタグの設置を意識する
ダイナミック広告の配信においてタグは重要な役割を担っています。効果的な運用につなげるために、Webサイト全体に適切なタグを設置しましょう。タグの設置が不適切であると、機能が不完全になるだけでなく、広告自体が配信されない場合もあります。
トップページや商品ページから一般のページにいたるまで、ページにあったタグを設置することが大切です。
フィードの情報を最新のものにする
実際の情報とフィードの情報は常に一致している必要があります。たとえば、ユーザーが「在庫あり」と表示されている情報からサイトに入ってきたにも関わらず、在庫切れになっているとユーザーは購入には至らず、離脱につながってしまいます。顧客獲得の機会損失につながらないように、フィード情報は最新であるようにしましょう。
フィードはわかりやすさを心がける
フィードは、広告をみたユーザーがすぐに認識できることが重要です。たとえば、文章よりも写真、商品のパッケージ写真だけではなく詳細がわかる情報を付け加えるといった工夫をしましょう。
また、情報の正確性も重要です。掲載していたデータが実際の商品、サービスの状況とちがったといったことのないようにしましょう。
データの量と質が効果改善のためのポイントに
ダイナミック広告の効果を高める要素は、データの量と質です。自動化している部分が多いため、データフィードとタグの設定も重要です。
また、データフィードとタグの一致率が重要で、数値が低い場合には早急な改善が必要です。特にCriteoは、不一致率が30%を超えると広告の開始や再開ができなくなるため注意が必要です。
まとめ
ダイナミック広告は、運用次第では静的広告よりも高い効果が期待できます。特にECの分野との相性がよく、ダイナミック広告の導入により、CVRが1.2倍になった事例もあります。
正しい設定方法をインプットすると、バナー作成の工数削減につながります。ただし、ダイナミック広告は、タグとフィードの設定が不十分な場合には効果を得られないため、広告設定について理解し、タグの設置やフィード情報の更新などの工夫をする必要があります。
ダイナミック広告の需要は高まっているものの、Webでの情報は現時点ではそれほど多くはありません。現段階でダイナミック広告について知識を深めることが競合他社との差別化につながり、大きな成果が期待できるでしょう。