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Webマーケティング2021.03.31
目次
Cookieには、Webサイトの利便性を高くする役割があります。ユーザーがWebサイトに訪問した際、スムーズにログインできるだけではありません。企業がデジタル広告を運用した際、精度の高いターゲティングを可能にします。
しかし、具体的にCookieの役割や仕組みについて、よくわからないという方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、企業のデジタル広告を担当する方に向けて、Cookieの特徴や種類、仕組みなどを解説します。デジタル広告におけるCookieの現状も解説するので、ぜひ参考にしてください。
Cookieとは?
Cookieとは「ある情報を一時的に保存しておく機能」のことを言います。「ある情報」とはユーザーが一時的に保存した、ログインパスワードやネットショッピングのカート情報などです。Cookieが有効であれば、ログインのたびにパスワードを入力する手間がなくなります。
また、ユーザーがサイトAからサイトBに移動した場合、その行動情報も記録されています。たとえばサイトAで「レディース セーター」と検索したとします。その後、サイトBに移動するとサイトBに女性用セーターの広告が表示されることがあります。これもCookieを利用した広告配信技術です。
Cookieには「名前」「ドメイン」「作成日」などが保存されています。Cookieは少ない情報しかを保存しておくことができず、保存期間にも限りがあります。有効期限の切れたCookieはそれぞれ破棄されていきます。
Cookieの仕組み
インターネットを利用するユーザーが、あるWebサイトにアクセスしたとします。ユーザーは、そのサイトに訪れるのははじめてです。ユーザーはブラウザからWebサイトへアクセスします。
ユーザーからアクセスを受けたWebサイトを管理しているサーバーは、Webサイトのデータ(HTMLファイル)を要求します。サーバーは、ブラウザへWebサイトのデータと同時にCookieのデータも送信します。
このとき、ブラウザにCookieの情報が一時的に保存されます。Cookieにはパスワードや買い物カートの情報などが保存されています。ユーザーが同じサイトを訪れると、2回目以降のアクセスではサイトデータの要求と同時に、ブラウザに一時的に保存されているCookieの情報が送られます。
Webサイトからデータと一緒にCookieの情報(パスワード等)が送られるので、ユーザーはパスワードを再入力せずにログインできるという仕組みです。
ブラウザがCookieを保存し続けている間は、ユーザーが何度Webサイトを訪問しても、サーバーがデータをリクエストし、Cookieの情報を送信し続けます。逆にCookieのデータが期限切れなどで破棄されてしまった場合は、初回と同じく、データの要求と保存を行います。
Cookieの種類
Cookieには2つの種類の「1st party Cookie(ファーストパーティークッキー)」と「3rd party Cookie(サードパーティークッキー)」があります。同じCookieでも性質が異なるので、Webサイトへの使われ方も異なります。
以下では、それぞれの特徴を解説します。
1st party Cookie(ファーストパーティークッキー)
「1rd party Cookie(ファーストパーティークッキー)」とは、ユーザーが訪問した各Webサイトのドメインが発行しているCookieです。
Webサイトのドメインごとで発行されるのでドメインを自由に横断できないのが特徴です。ファーストパーティークッキーはこの特徴を活かし、ログインパスワードの省略や買い物カートの商品情報を保存する際に多く使われます。
3rd party Cookie(サードパーティークッキー)
「3rd party Cookie(サードパーティークッキー)」とは、ユーザーがアクセスしているWebサイト以外で発行されたCookieです。サードパーティークッキーの「サードパーティー」とは第三者といった意味があります。ドメインに縛られることなく、サイトを自由に行き来できるのが特徴です。
サードパーティークッキーはドメインに縛られないため、リターゲティング広告の精度を高めたり、CV(コンバージョン)の計測で使用されたりします。ただし、第三者にユーザーのCookieが知られる可能性があるといった欠点があります。
Googleが3rd party Cookieの廃止を発表
Googleは2020年1月にChromeブラウザでのサードパーティークッキーの廃止を発表しました。これは、サードパーティークッキーでは第三者にユーザーのCookieが知られてしまう可能性に因ります。廃止の理由は、Cookie追跡問題への意識の高まり、ユーザーのプライバシー保護のためとみられています。
サードパーティークッキーが廃止されてしまえば、ユーザーのCookie追跡機能を悪用しようとする問題は解決できるかもしれません。しかし、リターゲティング広告やCV(コンバージョン)の計測ができなくなるといった指摘もあり、デジタル広告に大きなダメージを与えるとも予想されています。
デジタル広告におけるCookieの役割
デジタル広告ではCookieが広く使用されています。デジタル広告で使用されるCookieは主にサードパーティークッキーで、「リターゲティング広告」やCV(コンバージョン)の計測に利用されています。
リターゲティング広告
「リターゲティング広告」とは、Webサイトのデジタル広告をユーザーのCookieから判断した検索の傾向や関連する内容の広告のことです。ユーザーが一度訪れたWebサイトの商品やサービスを、別のWebサイトへアクセスした際も表示するデジタル広告です。
リターゲティング広告は、バナーやディスプレイ広告、ソーシャルメディア広告でも使用できるので、出稿媒体が広いことが特徴です。なお、リターゲティングはGoogle広告では「リマーケティング」、Yahoo!広告では「サイトリターゲティング」と呼ばれています。
メリット
リターゲティング広告にはサービスの購入や認知度を高める、つまりCV(コンバージョン)を増やすといったメリットがあります。一度Webサイトを訪れたユーザーのサードパーティークッキーを利用し、広告を再表示するのでCVする可能性が高まります。また、関連のないユーザーには表示されないので、CVR(コンバーション率)を落とす心配もありません。
さらにリターゲティング広告は、ドメイン(Webサイト)をまたいでユーザーを追跡する特徴があります。これにより、商品やサービスを何度も目にすることで親密感が増す「ザイアンス効果(単純接触効果)」を期待することもできます。親密感が増せば、CVに辿り着く可能性も高くなります。
デメリット
リターゲティング広告にはデメリットが2つあります。1つ目は緊急性の高いサービスには適していないことです。
例えば、水道トラブルを解決するサービスをリターゲティング広告として表示しとします。急いで水道を修理したいユーザーは、他社との比較をせずに目についた業者の広告を見て問い合わせるでしょう。このような商品、サービスはリターゲティング広告として配信する意味がありません。
2つ目は新規開拓が難しい点です。一度Webサイトを訪れたユーザーのCookieを利用するので、新しい顧客を産むことが難しいのです。リターゲティング広告を活かすには、いかにユーザーをWebサイトに誘導させるかがカギになります。
CV(コンバージョン)計測
「CV(コンバージョン)計測」とは、ユーザーが自社サイトの広告をクリックした後、どういった経緯を辿っていたかを計測することです。CV計測は、コンバージョントラッキングとも呼ばれています。
メリット
自社サイトの広告をクリックした後のユーザーの動きを把握できるので、CVするために必要なユーザーの動きを分析することができます。
例えば、広告をクリックしたユーザーがそのまま自社サイトを一度も離脱することなく、サービスや商品を購入したとします。このように、アクセスから購入までスムーズにCVした場合は、自社の広告やサービスに問題が無かったと考えられます。
一方、広告をクリックしたユーザーが一度、自社サイトを離脱したのち、再び自社サイトを訪問してサービスを購入したとします。このように間接的にCVした場合には、離脱していた間のユーザーの動きに注目できます。離脱したユーザーがどういった行動を取っていたかを分析すれば、自社のサイトやサービスをよりよくするためのヒントが得られるでしょう。
また、CVに辿り着かなかったユーザーが、どこで離脱したのかを知ることができるのもメリットです。離脱率が高いページがわかれば、改善するための足がかりにできます。
デメリット
CV(コンバージョン)計測のデメリットは、ユーザーの管理が煩雑なことです。ユーザーの動きを見られるCV計測ですが、手間や労力がかかります。自社内にノウハウやリソースが不足している場合の対策としては、デジタル広告の代理店などに外注を検討してみましょう。
まとめ
Cookieは、ユーザーが快適にインターネットを利用したり、企業がデジタル広告の運用に活用したりすることに活用されています。しかし、Cookie追跡機能の悪用化を受け、Googleではサードパーティークッキーが廃止されました。今後、Cookieを活用したデジタル広告の世界は大きく変わっていくでしょう。デジタル広告の運用を担当する方は、Cookieの今後の変化に注目されることをおすすめします。