マーケティングの基本、CRM(顧客管理)ってなに?

マーケティングの基本、CRM(顧客管理)ってなに?

マーケティング2021.04.20

目次


顧客と良好な関係を築く上で欠かせないマーケティングの基本「CRM」。顧客マーケティングにCRMをうまく取り入れることで、更に顧客満足度を向上させるのはもちろん、リピート客の増加や顧客ごとに適切なサービスを提供することにつながります。


今回は、CRMとはなにか、メリットについてまとめました。


CRMとは?


CRMとは、「Customer Relationship Management」の略で、日本語では「顧客管理」などと呼ばれています。顧客ごとの情報を集めて分析を行ない、長期的視点から顧客と良好な関係を築くことで収益の拡大を図るための一連の仕組みを指します。


CRMを活用し、個々の顧客に応じた行動パターンやニーズにあったモノを提供することで、購買額を高めたり、リピート率を高めたりすることにつながります。


CRMということばは、このような取り組みを行うツールやシステムを指す場合もあります。


CRMの3つの要素


マーケティングにおけるCRMは、下の3つの要素で構成されています。


1.顧客データの「蓄積」


CRMでは、次のようなデータを管理し、蓄積します。


人口統計的変数(デモグラフィック)


年齢・性別・家族構成・世帯規模・所得・職業などのデータを指します。


地理的変数(ジオグラフィック)


地域・年・人口密度・気候などのデータを指します。


心理的変数(サイコグラフィックス)


ライフスタイル・性格・好み・興味関心などのデータを指します。


行動上の変数


使用頻度・ベネフィット・ユーザの状態・利用割合・ロイヤリティ・購買認知段階・製品に対する態度などを指します。


製品・サービスの属性変数


製品・サービスの品質、性能、サイズ、スタイルなどを指します。


2.顧客データの「分析」


蓄積されたデータを基に、個々のデータや履歴を掛けあわせたりしながら分析を行ないます。それによって、顧客のセグメンテーションを行ないます。


3.顧客データの「活用」


分析結果から導きだされた、セグメンテーションされた顧客ごとに施策を立案します。その後、実行に移し、検証します。


上記の1~3の流れを通じて、顧客データの蓄積・分析・活用のサイクルを繰り返し行い、顧客との関係性強化につなげます。


CRMにおける「顧客データ活用」の具体的な手法


データを用いて適切なコミュニケーションをとったり、サービスの改善を行ったりすることがCRMにおける顧客データの活用です。


実際の店舗であれば、購買データをもとに店舗の動線を組み替えたり、アンケートをもとに新しいサービスを提供したりといった"改善"の取り組みもデータを活用して顧客との関係を維持するための取り組みです。また、住所やメールアドレスなどの情報を取得しているのであれば、お礼の手紙やクーポンの送付といったコミュニケーションもあります。


Webサービスやアプリなど、より多くのデータを取得できる場合には、データをもとにセグメントを切ったり、完全に自動でカスタマイズをした形で、メールやプッシュ通知などでコミュニケーションをとることが可能です。


CRM導入の事例


食品・衣料スーパーのオギノ


食品・衣料スーパーのオギノ(甲府市)は、全国チェーンへの対抗策として、ポイントカードから収集した情報をもとに独自のCRMを展開してきました。


まずは、「お手軽健康系」や「こだわり素材系」といった具合に、食材の購入履歴を20種類の項目に分けて蓄積を行ないます。


その後、各項目のデータを掛けあわせて分析を行ないます。


その結果を顧客別・店舗別の特性に照らし合わせて、最適な品揃え・売場作り・販促に活用している事例です。


神戸市立須磨海浜水族園


2013 CRMベストプラクティス賞を受賞した水族館・神戸市立須磨海浜水族園の事例を紹介します。


水族園運営において、月一回、顧客満足度を調査するアンケートを実施しています。また、園内に来場者の声を投稿してもらう「スマイルBOX」を常設することで、顧客の声をデータとして蓄積しています。


その後、蓄積されたデータに基づいて分析を行ないます。


分析結果から得られた知見を活用することで、催し物の内容を喜んでもらえるように工夫したり、貸切りサービスや大晦日の年越し営業などを改善したりすることで、水族園ファンの増加などに役立てている事例です。


相模市のコールセンター


全国の自治体として初の2年連続CRMベストプラクティス賞を受賞した、相模市のコールセンターにおける事例を紹介します。


市のホームページの中に、小学生の想いを伝える「こども特設ページ」を開設することで、幅広い世代の市民の声を、データとして蓄積する仕組みを作りました。


そのデータを分析することを通じて、中高生が市政に対して考えを述べる「ジュニア・モニター制度」の創設などに活用されている事例です。


まとめ


今回紹介したように、CRMを活用することで、複数の顧客に対して個別のデータに基づいた蓄積・分析を行うことができるようになります。


それによって、顧客に応じた適切な施策を提案できるようになるため、顧客との関係性強化に役立ちます。


CRMを取り入れることで、顧客と長期的かつ良好な関係を築いていきましょう。