マーケティングオートメーションの失敗あるある「新規リード獲得の方が重要だった」

マーケティングオートメーションの失敗あるある「新規リード獲得の方が重要だった」

Webマーケティング2021.03.31

目次


こんにちは。[本気ファクトリー株式会社]代表取締役 畠山 和也です。Marketing Bankでは、BtoBマーケティングに関する最新情報やノウハウを連載でご紹介しています。


マーケターの方のほとんどが一度は聞いたことがあるであろう「マーケティングオートメーション(MA)」ですが、徐々にその失敗事例や、導入を断念した企業の話も出てきました。まだツールベンダーやWebマーケティングのコンサルティング会社では成功例が語られることが多いですが、成功例と失敗例、両方を理解してこそ、正しい判断ができるはずですので、今回は失敗例をご紹介させていただきます。


マーケティングオートメーションツール導入を成功に導くヒントになりましたら幸いです。


マーケティングオートメーションツールを導入したあるG社の例


G社情報


G社はレンタルサーバーに関連したサービスを提供する企業です。ターゲットは幅広いのですが、営業拠点は東京のみ。おもに電話・Web会議で商談をまとめています。近年、競合の積極的な営業・マーケティング活動により、市場の成長スピードに対して、自社は遅れを取っている状況でした。そこで、新規顧客を獲得するための手段としてマーケティングオートメーションを導入しました。


では、G社はなぜ、新規顧客を獲得するための手段にマーケティングオートメーションを選んだのでしょうか。理由は2つありました。


①トライアルプランを大量に獲得し、有償化につなげる活動を自動化できると考えたため


②新規リード獲得で自動化できるところがあるのではないかと考えたため


では、①②に至った背景を掘り下げてみましょう。


①トライアルから有償化へのアップセルの自動化


G社は、トライアルプランを用意しており、そのトライアル終了後に有償プランへ移行してもらう活動を営業マンが行っていました。


顧客を増やすために、単価の低い顧客も受注する計画がありましたが、そこにこれまでのどおりの営業人員を充てるのはコスト的に難しいため、手間を掛けずに有償プランへ移行させる仕組みが必要だと考えていたのです。


②新規リード獲得の自動化


これまで以上に新規受注数を増やすためには、リードの質や受注率改善の工夫よりも、まずはリード獲得数を上げることが重要でした。そのため、リード数が増える施策を自動化してくれる仕組みが必要でした。


マーケティングオートメーションツールを導入してわかったこと


ではこのG社はマーケティングオートメーションツール導入後、どうなったのでしょうか。結論からお伝えすると1年半でツールを解約し、ツールにかけていた予算を各種広告・展示会出展に割くこととなりました。


マーケティングオートメーションツールを使いながら、わかったことは以下2点でした。


1.マーケティングオートメーションツールを導入してもリードの母数が増えるわけではない


2.リードが増えなければ、自動化機能の出番がない


1.マーケティングオートメーションツールを導入してもリードの母数が増えるわけではない、


当たり前ですが、マーケティングオートメーションツールは自動でリードを集めてくれるわけではありません。あくまでリード獲得施策の一部や、獲得したリードの確度を高めるための施策の一部を自動化してくれるものであり、積極的にリードの獲得をしようとすると、結局は広告費が別途必要になります。そもそもリード数を集めてこないことには何も始まらない事に気づきました。


2.リードが増えなければ、自動化機能の出番がない


これは、1にもつながりますが、リード獲得数が伸び悩み、マーケティングオートメーションツールは当初期待されていたほどの出番がなかったのです。


ということで、G社ではマーケティングオートメーションツールの活用よりも、リード獲得へ投資することになったのです。


今回のポイント


今回のケースのように、マーケティングオートメーションに投資するより、「まずはリード獲得(リードジェネレーション)」に投資しようと判断されることは往々にしてあります。このケースの場合、マーケティングオートメーションへの投資も大きかったため、その投資先をほかへ切り替えることになってしまいましたが、月額が安めのマーケティングオートメーションツールを導入していれば、G社では細々とでもリードナーチャリングを継続できていたでしょう。


リードジェネレーションは多くの場合「ここまで獲得できたらマーケティングオートメーションに取り組むぞ」という目標が定まらないまま取り組まれることが多いです。そうなると、いつまでも「リードを獲得してもナーチャリングできない組織」になってしまいます。できればスモールスタートでリードナーチャリングもやりつつ、リードジェネレーションに力を入れるのが理想かと思います。


畠山和也 


[本気ファクトリー株式会社]取締役


ソフトバンク・リクルートで営業現場・新規事業の立ち上げ、ラクスルなどでWEBマーケティングの実務を経験し2014年独立。「固定客をつくる根雪マーケティング」をコンセプトにデジタルマーケティングのコンサルを提供。