Webマーケティング2021.03.31
目次
Webサイトを立ち上げたときは最適な状態だと思っていても、Webの技術の進歩やトレンドの変化はめまぐるしいもので、古く、成果の出ないものとなってしまうことは少なくありません。そんな時に、Webサイトを抜本的に見直し、企画・パートナーの選定・プロジェクトの管理進行など大きな労力をかけてリニューアルを行うという選択をする企業も多いのではないでしょうか。
しかし、Webサイトをリニューアルした段階では、仮説をもとに検証の土台が出来上がった状態でしかありません。リニューアル時の仮説と検証、そして改善していくことがWebサイトで成果を上げるために重要なことです。自社のサイトがターゲットとなるユーザーに対して、導線設計やUI・UXという観点で継続的に改善し、仮説・検証を繰り返すことがサイトの成果向上につながります。
今回は、Webサイトの成果を上げる、リニューアルを成功させるための4つのステップを紹介します。
ステップ1:リニューアルの企画段階でKPIを設定する
まず、リニューアルした後のWebサイトのKPIを設計していますか?
リニューアル実施の意向が「古く、今っぽくない」「前任の担当者からきちんと引き継ぎを受けておらずよくわからない」「リニューアルをすれば成果が伸びそう」といったデータをもとにした裏付けのない、あいまいな理由からスタートすることは少なくありません。
KPIを設定していない状態でリニューアルの企画を進めると、「リニューアルすること」自体が目的となってしまいます。Webサイトのリニューアルを成功させるためには、目的を明確にして課題ごとの仮説と施策を立てることが重要です。
まずは、Web上のCV(コンバージョン)をKPIと設定することが多いです。目的やサイトの種類に応じて電話CVをKPIとして設定したり、計測できるように開発要件として追加する必要が出てくる場合もあります。他にも、必要に応じて次のような指標も設定し、それぞれの施策がどの指標を向上させるためのものなのかを明確にしましょう。
・ユーザー来訪数
・平均サイト滞在時間
・閲覧ページ数
・直帰・離脱率
・リピーターの割合
など
指標を明確にすることではじめて、リニューアル前後の成果を比較でき、改善が行えるようになります。
ステップ2:リニューアル後はサイト分析をする
リニューアル直後に、まずはステップ1で設定したKPIがきちんと計測できる状態となっているかを確認しましょう。Webサイトのリニューアル後は、きちんとサイトの分析を行い、仮説をもとに行ったリニューアル効果を分析しましょう。
また、KPIをもとに行うアクセス解析のみでなく、ユーザーの行動データを元にした分析や、実際にユーザーにサイトを操作してもらうユーザーテストを行うのも良いでしょう。
アクセス解析
多くの場合、Google AnalyticsやAdobe Analyticsを用いて計測を行います。設定したKPIを中心にボトルネックとなるページ遷移がどこなのかを調べます。
ユーザー分析
Webサイトに本文したユーザーのサイト内での行動を明確にすることで、アクセス解析では見つけられない課題を発見することができます。また、より具体的にユーザーにサイトを操作してもらうユーザーテストも効果的です。
・ヒートマップツール、クリックマップツール
各ページで意図した行動をとっているか、ページ内のどこが注目されているのかを確認
・ユーザーテスト
実際にサイトを操作してもらい、使いやすいものとなっているか、問題点を確認
ステップ3:改善の優先度を決定、改善施策を考えて実行する
ステップ2で洗いだした課題をもとに、改善するページの優先度を決定します。
設定したKPIの中でも、サイトのゴール(CV)への影響がより大きい箇所が優先度の高い部分です。CVした訪問またはユーザーあたりの各ページのPV(ページビュー)をもとに算出するCV貢献度を指標として用いるのが一般的です。
改善するページの優先度が決まったら、それぞれのページに対して具体的な改善施策を考えます。改善施策を考えるときに重要なのは、ターゲットとなるユーザーの視点で考えることです。ユーザーが必要としている情報は何か、何を考えてのような遷移をしているか、何を考えて離脱しているのかなど仮説を立てたうえで施策を決定しましょう。とはいえ改善案が思いつかな場合も少なくありません。競合サイトや似たビジネスモデルのWebサイトを参考にして、良い点は何かを見極め、施策として取り込むと良いでしょう。
改善施策を考えたら、開発工数の見積もり・スケジュールの設定をしましょう。スケジュールの設定で失敗しがちなのが、複数の改善を同時にリリースするということです。どの施策によって改善されたかが分からないのみでなく、改善のスピードが落ちてしまいます。開発工数の小さいもの、開発工数の大きいものを2つのラインでスケジューリングを行うと良いでしょう。
またバックエンドの開発が不要な部分に関しては、改善前と改善後の両方が同期間で試せるA/Bテストツールを導入して実施することで、スピーディーに改善を行うことが可能になります。
株式会社イノベーションでの改善事例
課題:資料DLフォームのCVR 低下(Google Analyticsのデータより)
実施テスト:フォームのABテスト
→リニューアル後のフォーム vs リニューアル前のデザインに近づけたフォーム
自社フォームABテスト
ステップ4:検証する
改善策の実行後は、ステップ2と同様に定期的な検証を行いましょう。ステップ3で立てた仮説および施策が、実際に目標数値であるKPIに影響、改善しているかを確認しましょう。
以降の改善はステップ2~ステップ4の繰り返しです。サイトの改善が進むにつれて、マーケティングオートメーションを導入したり、CRMとの連携を行ったりとデジタルマーケティングの施策として新たなKPIを設定して改善を行う必要が出てくる場合もあります。
アクセス解析を定期的に行うには、Google Analyticsの機能やデータをもとに簡単にレポーティングを行うためのツールを利用すると便利です。
まとめ
Webサイトのリニューアルを成功させるためには、リニューアル自体を目的化せずに、仮説と検証を行うことがもっとも重要です。特に、初期の企画段階でのKPI設計が明確でないと、成果が悪くなってしまうということさえも考えられます。
CVポイントを中心に改善を行いますが、なかなか改善に繋がらない場合もあります。しかし、Webサイトの改善は掛け算で、各ページでの各施策による改善の積み重ねが大きな成果へと繋がっていきます。しっかりと仮説を立てて検証を行うことで着実にWebサイトは改善していきます。
リニューアルは検証のための土台が出来ただけだという認識を持ち、改善を繰り返し、サイトを成長させていきましょう。